ChatGPTとClaudeは1つに絞らず、下書きを作る役と、その下書きを点検する役に分けて両方使うほうが失敗しにくいです
同じAIに書かせて同じAIに確かめさせると、そのAIが思い違いをした箇所は最後まで残ります。別の会社のAIに読ませると、そこが見つかります。
無料枠どうしの組み合わせなら、いま払っている金額を増やさずに始められます。
同じAIに書かせて、同じAIに点検させても、間違いは残る
人は自分が書いた文章の誤字を見つけにくいものです。AIも似たところがあります。
ある数字を思い違いしたまま文章を書いたAIに、その文章をもう一度見せても、「問題ありません」と返ってきます。書くときに使った思い込みが、点検するときにもそのまま働くからです。
別の会社が作ったAIは、覚えているものも、答え方のクセも違います。だから引っかかる場所が違います。ここが「2つ使う」ことの中身です。
AIを2つ使う目的は、同じ作業を2回やることではありません。書く役と点検役を分けることです。
当方のコラムは、ネタ出しから公開まで6つの段階に分けている
いまお読みいただいているこのコラムも、その形で作っています。
ネタ出し → テーマ選び → リサーチ → 執筆 → 点検 → 公開、の6段階に分け、段階ごとに担当を変えています。下書きはClaudeが書き、点検はGPT-5.6が読みます。
読者がChatGPTで同じことをしても、役割の分け方は変わりません。書く役と点検役が別の会社のAIであれば、この記事の言うとおりに動きます。
何を示す表か:当方がコラム1本を作るときの段階と、その担当です(2026年8月時点)。
| 段階 | やること | 担当 |
|---|---|---|
| ネタ出し | 題材の候補を出す | 動きが軽く安いAI |
| テーマ選び | 候補から1本を選ぶ | 人 |
| リサーチ | 出典にあたる | 動きが軽く安いAI |
| 執筆 | 下書きを作る | その時点でいちばん性能の高いモデル |
| 点検 | 事実の誤りと数字の食い違いを探す | 別の会社のAI |
| 公開 | 直すかどうかを決めて出す | 人 |
段階を分けているのは、段階ごとに要る力が違うからです。題材集めは数をこなす作業なので安いAIで足ります。下書きの出来はそのまま記事に出るので、ここにいちばん良いモデルを使います。
もう1つ、当方が現場で見聞きしたことを記事に混ぜる仕組みも作ってあります。支援した現場の数字や、やってみて分かったことを別に貯めておき、関係する記事を書くときに材料として渡します。AIは自分で調べた範囲しか書けないので、これを入れないと、どこかで読んだような記事にしかなりません。
最初は「ネタ出し → テーマ選び → リサーチ → 執筆」の4段階だけでした。それでは記事の質に納得できず、点検の段階と、この知見の仕組みを後から足しています。
自動で動く部分では、いまも執筆と一次点検に同じモデルを使っています。この記事に書いたとおり、それだけでは足りません。だから最後に、別の会社のAIと人が必ず見る形にしています。
点検役を足して、何が変わったか
数えると、次のようになりました。
- 指摘10件のうち、8件は妥当だった。 直近の1本での実測です。残り2件は、原稿の中で図に変わる前のデータを「読者にそのまま見えてしまう」と誤解した指摘でした。
- 同じ誤解が、4本続けて出た。 点検役への指示文に、その誤解の実例まで書き足しても止まりませんでした。言い方だけを変えて毎回出てきます。
- 人が見落とした間違いは、実際に捕まった。 別の記事で、当方が載せた料金表から導いた「月◯枚を超えたら別のプランが安くなる」という一文が、計算違いでした。表の数字を突き合わせて指摘してきたのは点検役のAIです。
点検役のAIも間違えます。指摘をそのまま反映せず、1件ずつ本文に当てて確かめてから直す工程が要ります。当方はここを人がやっています。
※ 数字は当方のコラム制作での実測です。
無料枠と個人プランなら、払う金額をほとんど増やさずに両方使える
何を比べる表か:1人で両方を使い始めるときの、個人向けプランの料金です(2026年8月時点・1ドル155円で計算)。
| プラン | ChatGPT | Claude |
|---|---|---|
| 無料 | あり | あり |
| 標準の有料プラン | Plus 月20ドル(約3,100円) | Pro 月20ドル/年払いなら月17ドル(約2,600円) |
| もっと安い有料プラン | Go 月8ドル | 無料の次はPro |
この表の読みどころは、点検役は無料枠のままでも足りることが多いという点です。点検は文章を読んで気づいた点を書き出すだけなので、下書きを作るときほど回数を使いません。
すでに片方に月20ドル払っているなら、もう片方は0円で足せます。回数が足りなくなってから有料に切り替えれば十分です。
複数人で使うなら法人プランになります。2026年8月時点では、ChatGPT BusinessもClaude Teamも1人あたり月25ドル(年払いなら20ドル)です。どちらも2名から契約できます。金額も最低人数もほぼ同じなので、「どちらが始めやすいか」で差はつきません。
ただし2社を法人契約すると、費用はそれぞれに発生します。最低の2名ずつなら、月払いで合わせて月100ドル(約15,500円)、年払いなら月80ドル(約12,400円)です。無料枠での併用から始めて、人数と回数が増えてから法人プランへ移る順番が無理のない進め方です。
※ 以前は「Claudeは5名から」と書かれた紹介記事が多く、この記事も以前はそう書いていました。公式の案内は現在「2名から150名まで」です。
法人プランの中でBusinessとEnterpriseのどちらを選ぶかは、ChatGPT法人プラン比較|月$20〜2種類で詳しく書いています。
上のモデルを使うほど質は上がるが、上限に当たる
どちらのサービスも、性能の高いモデルほど使える回数が少なく設定されています。良いほうを選べば記事や資料の出来は上がりますが、その分だけ早く上限に当たります。
当方は2026年7月に、ひと月分の上限に達してAIがまったく使えなくなりました。いまは1本あたり・1日あたり・1か月あたりの3段階で使う量に上限を決め、超えたら機械が手を止めて人に回すようにしています。
上位のモデルは「常に使う」ではなく使いどころを絞る。下書きには良いモデルを、下調べや点検には軽いほうを、という分け方が現実的です。
個人プランと法人プランでは「学習させない」の初期設定が逆になる
2つ使うということは、社内の情報を2社に渡すということです。ここは先に押さえてください。
何を示す表か:入力した内容が、AIの改良(学習)に使われるかどうかの初期設定です(2026年8月時点)。
| プラン | ChatGPT | Claude |
|---|---|---|
| 個人 | 無料・Plus・Pro:初期設定では学習に使われる。設定でオフにできる | 無料・Pro・Max:自分で「使ってよい」を選んだときだけ使われる |
| 法人 | Business:初期設定では使われない | Team:初期設定では使われない |
Claudeの法人向け製品については、公式に次のように案内されています。
法人向け製品(Claude for Work、Anthropic API など)に入力した内容と、その出力は、初期設定ではモデルの学習に使いません。
ChatGPTも法人向けのBusiness・Enterpriseは同じ考え方で、業務データは初期設定で学習に使われません。つまり会社の情報を扱うなら、2社とも法人プランに寄せるのが素直です。
法人プランでも例外があります。回答についている「👍👎」を押したり、不具合を報告したりすると、そのやりとりは学習に使われることがあります。Claudeでは、送ったやりとりを最大5年保存すると案内されています。社内では「評価ボタンは押さない」と1行決めておけば防げます。
線引きの例を挙げます。公開済みの商品説明や、カタログに載っている仕様は入れて構いません。顧客名、取引先とのまだ公にしていない条件、個人情報は入れない。この3つを決めるだけでも、迷う場面はかなり減ります。
情報が漏れる可能性をゼロにはできませんが、プランの選び方と、入力してよい情報の線引きを1枚のメモにするだけで、扱える状態になります。
→ くわしくは「Copilotに学習させない条件|職場アカウントで守る」で解説しています。
両方使い始める4つの手順
2つのAIに同じ社内情報を入れることになります。手順1の前に、入力してよい情報の線引きを決めてください。
-
点検役にするAIを決めるいま使っているほうを書く役、使っていないほうを点検役にします。新しく覚えることが少なくて済みます。
-
点検役は無料枠のまま始める足りなくなってから有料にします。先に契約すると、使わないまま月額だけ払うことになります。
-
点検の頼み方を1文だけ決めておく「事実の誤りと数字の食い違いだけを指摘してください。表現の好みは書かないでください」のように、毎回同じ形で頼みます。頼み方を変えると指摘の量が毎回変わり、前回と比べられなくなります。
-
指摘を1件ずつ本文に当てて、直すかどうかを人が決める点検役の指摘にも誤りが混じります。まとめて反映すると、正しく書けていた部分まで壊れます。
誰がどこまでやるか
導入するかどうかと、どの文書まで使うかは社長が決めます。日々のやりとりは、文章を扱う担当者が回します。
点検役の指摘については、担当者が1件ずつ判断し、社長が最終確認するのが現実的です。担当者だけで完結させると、点検役の誤った指摘がそのまま記事や資料に入ります。
下の図は、いまの状況から、どちらを書く役にするかの目安です。
図:いまの使用状況から、書く役と点検役をどう割り当てるかの目安
まだ何も使っていない会社が、いきなり2つ始める必要はありません。1つに慣れてから点検役を足すほうが、どちらの指摘が役に立ったかを判断できます。
FAQ
法人プランどうしなら、どちらも初期設定では学習に使われません。ただし2社に渡ることは変わらないので、社外に出せない資料は、そもそもどちらにも入れない線引きにしてください。
点検役なら無料枠のまま続けられることが多いです。下書きを作る側は回数を多く使うので、そちらから先に有料が必要になります。
点検役に渡す作業は、原稿を貼って1文お願いするだけです。手間が増えるのは、返ってきた指摘を1件ずつ確かめるところで、ここは書き直しの時間そのものが減る分と相殺されます。
いま使い慣れているほうです。長い資料をまとめて読ませることが多いならClaude、画像や動画も作りたいならChatGPTという違いはあります。ただ、書く役を乗り換える手間のほうが大きくなります。
- ChatGPTとClaudeは、片方を選ぶより「下書きを作る役」と「点検する役」に分けて両方使う。同じAIに書かせて同じAIに点検させると、思い違いはそのまま通る
- 点検役は無料枠から始められる。片方だけ有料なら1人月20ドル前後、法人プランは各社1人月25ドルで、それぞれ2名から(2026年8月時点)
- 個人プランは入力した内容が学習に使われうるが、法人プランは初期設定で使われない。ただし評価ボタンと不具合報告は例外
- 性能の高いモデルほど早く上限に当たる。下書きに良いモデル、下調べと点検に軽いモデル、と使いどころを分ける
- 点検役のAIの指摘にも誤りが混じるので、直すかどうかは人が1件ずつ決める
今週作った書類を1つ選び、片方のAIで下書きし、もう片方に「事実の誤りだけ指摘して」と貼る
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