定型はプログラム、最後の判断は人
結論:Amazon出品の商品画像は、リサイズも白背景の検査もプログラムで足ります。AIを使う価値があるのは、写真ごとに境目が変わる切り抜きだけです。
当方の中古パソコンの写真では、加工は1枚1.4秒で終わりました。ただし検査に全部合格しても、商品の一部が消えることがあります。公開してよいかは人が決めます。
商品画像の加工は、4つの作業に分かれる
「商品画像をAIで加工する」とひとまとめに語られますが、中を開けると性質の違う作業が混ざっています。当方は次の4つに分けて考えています。
先に言葉の使い分けを決めておきます。この記事では、色の明るさで区切る、面積を数える、いちばん大きい部分を取り出すといったあらかじめ決めた規則どおりに動く処理を「プログラム」と呼びます。写真ごとに商品の形を推し測る、学習済みの仕組みを使う処理を「AI」と呼びます。AIも広い意味ではプログラムですが、この記事では両者を分けて扱います。
何を示す表か:1枚の商品画像ができるまでの作業を、任せる相手ごとに分けたものです。
| 作業 | 任せる相手 | 中身 |
|---|---|---|
| ① 背景から商品を切り抜く | AI かプログラム | 商品と背景の境目を見つける |
| ② 白背景に置き、位置と大きさをそろえる | プログラム | 余白を切り、中央に置き、決まった比率で配置する |
| ③ 規約に合っているか検査する | プログラム | 背景が純白か、大きさが足りるかを数える |
| ④ 出してよいかを決める | 人 | 商品が正しく写っているか、規約に触れないかを判断する |
この表の読み方で大事なのは、迷いが生まれるのは①だけという点です。②と③は「決まった手順のくり返し」なので、プログラムのほうが向いています。一度書けば何枚でも同じ結果になり、料金もかかりません。
①だけは、写真によって難しさが変わります。ここをAIに任せるかプログラムで済ませるかが、費用の分かれ目になります。
なお、切り抜き以外にAIを使う道もあります。ただし当方は試していないため、効くかどうかは分かりません。この記事で書けるのは、実際に手を動かして確かめた範囲だけです。
AIに向くのは「毎回ちがう判断」、プログラムに向くのは「毎回おなじ処理」です。この線引きを間違えると、外部サービスの料金をかけずに済む作業に月額料金を払うことになります。
プログラムだけで、どこまでできるか試した
では①の切り抜きも、プログラムでできないのでしょうか。実際に確かめました。
使ったのは OpenCV(画像を扱うための、誰でも無料で使えるプログラムの部品集)です。当方が販売する中古ノートパソコンの写真2枚を材料に、やり方を3つ試しました。どれもAIのサービスは1回も呼んでいません。ネットにもつながないので、外部サービスの利用料はかかりません。なお、プログラムを書く時間・動作を確かめる時間・目で見て確かめる時間は、この費用に含めていません。
何を示す表か:3つのやり方で、同じ2枚を処理した結果です。
| やり方 | 1枚あたり | 背景が均一な写真 | 照明とレフ板が写った写真 |
|---|---|---|---|
| 縁の色との差で分ける | 0.2秒 | 成功 | 失敗(レフ板が灰色の塊で残る) |
| 色の統計で前景と背景を分ける | 1.1秒 | 成功 | レフ板は消えたが、小さな残骸が2個 |
| 上に「最大の塊だけ残す」を足す | 1.4秒 | 成功 | 見た目は合格(ただし次の節) |
この表が示すのは、今回試した写真では、撮影条件がそろっていればプログラムだけで切り抜けたということです。背景が一様に白い1枚は、3つのやり方すべてで問題なく仕上がりました。
ただし確かめたのは2枚だけです。どちらもノートパソコンという平たくて大きい商品で、背景は白系でした。透明な商品、細いケーブル、白い商品、強い反射がある商品でも同じ結果になるとは限りません。
一方で、撮影用のレフ板(光を反射させて影を弱める白い板)が写り込んだ写真は、1つ目のやり方では分けられませんでした。板も背景も白く、色の差だけでは商品と区別できないためです。
※ 数字は当方が自社の商品写真2枚で測った実測値です。
判定は全部合格、それでもCPUのシールは消えていた
3つ目のやり方は、見た目はきれいに仕上がりました。あわせて用意した自作の検査も、四隅が純白・商品が長辺の85%・長辺1,600ピクセル(画像の細かさを表す点の数)と、すべて合格を返しました。
ところが拡大して目で見ると、本体の右下にあったCPUのシールが、白い四角に塗り潰されて消えていました。白いシールを背景の一部だと判定したためです。
何を示す表か:同じ写真の右下部分を、加工の前後で比べたものです。
中古パソコンにとって、CPUのシールは性能を示す証拠です。これが消えた画像を出品に使えば、買う人は確かめる手がかりを失います。当方の判断では、これは出品で問題になる欠けです。
この検査が見ているのは「背景が白いか」「大きさは足りるか」だけです。商品の中身が欠けたかどうかは数えられないので、書き出した画像は必ず人が開いて確かめてください。
もう1つ分かったことがあります。元の写真が512ピクセルだったため1,600ピクセルに引き伸ばしましたが、細かさは増えません。ファイル上の大きさは検査を通っても、元の写真の粗さは、プログラムでもAIでも埋められません。買う人が細かいところを確かめられる写真かどうかは、大きさとは別に人が判断することになります。
「85%」をプログラムでどう判定するか
Amazonのメイン画像には、はっきりした決まりがあります。背景は純白(赤・緑・青の値がすべて255)で、商品が画像の85%を占めること。そして商品や背景に、文字・ロゴ・縁取り・透かしを入れないことです。
この「85%」を、実際に手を動かす段になって決めかねました。面積の85%と読むか、商品を囲む四角形の長い辺が85%と読むかで、作るものが変わるからです。公開されている文言だけでは、プログラムに書き下せるほど細かくは決まっていません。
そこで当方の写真で計算しました。長い辺を85%に合わせて配置したとき、商品が実際に占める面積は56.6%と42.4%でした。面積で85%にするには長い辺が1,687ピクセルと1,948ピクセルになり、1,600ピクセルの枠に収まりません。
面積と読むと、平たい商品では達成できない決まりになってしまいます。そこで今回は「商品を囲む四角形の長い辺が85%」という置き方で配置しました。ただしこれは当方が実装するうえで選んだ読み方であって、Amazonが計算式として示したものではありません。
規約の文章だけでは、プログラムに何を書けばよいかが決まらないことがあります。数字を実際に当てはめて、成り立つ読み方を選んでください。
AIが要るのは、撮り方がそろっていない写真
ここまでを整理すると、AIにお金を払う理由がはっきりします。撮影の条件をそろえられないときです。
商品ごとに背景や照明が変わる、撮る人が複数いる、屋外で撮ることがある。こうした写真では、色の差だけで商品と背景を分けられません。ここが、学習によって「商品らしい形」を見分けるAIの得意な領域です。
何を示す表か:切り抜きにAIを使う場合の、代表的な選択肢です(2026年8月時点。料金は変わるため最新は各公式サイトで確認してください)。
| ツール | 月額(税込) | 向いている場面 |
|---|---|---|
| Adobe フォトプラン | 2,380円 | 1枚ずつ丁寧に仕上げたいとき |
| Adobe Photoshop単体プラン | 3,280円 | 上と同じ。Lightroomが不要な場合 |
| Photoroom | 無料プランあり(ただし商用利用は不可) | 出品枚数が多く、まとめて処理したいとき |
この表の読み方で、まず気づいてほしいのは上の2行です。Photoshopを使いたいだけなら、単体プランより900円安いフォトプランで足ります(Photoshopに加えてLightroomも付きます)。どちらも年間プランの月々払いの価格です。
もう1つ注意したいのがPhotoroomの無料プランです。公式のヘルプに商用利用は認められないと書かれているため、出品に使う画像を無料枠で作ることはできません。試すのは無料でできても、実際に使う段階では有料プランが必要になります。
Photoshopの「背景を削除」は、ワンクリックで被写体を切り離す機能です。クラウド処理を有効にすると、複雑な縁や細かい部分の選択がより正確になります。
メイン画像に、生成AIで作った背景は使えない
「AIで商品画像を作る」と聞いて思い浮かぶのは、背景を生活の場面に差し替えるような使い方でしょう。ただしメイン画像には使えません。背景を純白にする決まりがあるためです。
生成AIで作り込んだ背景が使えるのは、サブ画像・広告・ブランドストアです。サブ画像には文字・ロゴ・人物・背景を入れてよいことになっており、商品ページには最大9枚(メイン1枚とサブ8枚)を登録できます。
広告用の画像なら、Amazon自身が無料の生成機能を用意しています。広告の管理画面にある「クリエイティブスタジオ」で、商品の情報から生活の場面に置いた画像を作れます。日本を含む15の国と地域で使えますが、これは広告のための機能で、メイン画像を作るためのものではありません。
生成AI機能を使用すると、テキストプロンプトを使用して画像を非破壊的に変更できます。
非破壊的な編集とは、元の画像を残したまま何度でもやり直せる作り方のことです。1回で満足できなくても作り直せるので、試す負担は小さくなります。
AIで人物を作るなら、印を付けてからアップロードする
2026年7月、Amazonは出品者に新しい手続きを求めるようになりました。実在の人物に基づかず、完全にAIで作った写実的な人物が写っている画像・動画・A+コンテンツは、アップロードの前に決まった印を付けることになっています。
印の付け方は決まっています。入れる先は、画像ファイルのXMPメタデータです。これは写真ファイルの中に埋め込まれる説明書きのことです。その件名の欄に contains-synthetic-performer というキーワードを入れます。この欄を編集できるソフトが必要です。
何を示す表か:印が要る画像と、要らない画像の分かれ目です。
| 印が要る | 印は要らない |
|---|---|
| 実在しない人物を、AIが写実的に作った画像 | 実在の人物を撮った写真(AIで加工・補正したものも含む) |
| その人物が写った動画・A+コンテンツ | 映画・テレビ・ゲームなどのキャラクター |
| 人物が写っていない画像、イラストや漫画調の人物 |
この表で押さえたいのは、AIで背景だけを差し替えた商品写真は、この印の対象ではないということです。対象になるのは、写真に見える人物そのものをAIが作った場合に限られます。
この手続きのきっかけは、ニューヨーク州の法律(2026年6月9日施行)です。ただしAmazonは州向けの出品だけでなく、世界中のストアに同じ扱いを求めています。日本から出品する場合も、州法が直接かかるのではなく、Amazonの決まりとして守ることになります。なお州法の罰金(初回1,000ドル・以降1件5,000ドル)は、広告を作った事業者に向けたものです。印を付け忘れたときAmazonがどう扱うかは、公表されていません。人物を生成して使うなら、手続きを先に確認してください。
自社で試すときの手順
一度に全部を仕組み化せず、どこが自社の手間になっているかを数えるところから始めます。
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手元の写真10枚で、背景の状態を確かめるまず四隅の色を見ます。ただし四隅だけでは足りません。当方の2枚は、うまく切り抜けたほうも四隅が純白ではありませんでした。商品の周りに影・反射・撮影器具が写っていないか、商品の外周をぐるりと見て背景の色が安定しているかまで確かめてください。
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撮影の条件をそろえられるか考える背景紙を1枚決め、置く位置と照明を固定できるなら、AIを買わずに済む見込みが立ちます。
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プログラムで済む作業から先に自動化する大きさをそろえる、中央に置く、純白かを検査する。この3つは決まった処理なので、費用をかけずに毎回同じ結果が出せます。
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そろえられない写真だけ、AIの切り抜きを試す無料で試せる範囲で加工品質を見ます。商用利用の可否は、契約の前に必ず確認してください。
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書き出した画像を、必ず人が開いて確かめるシールや型番、傷の写り込みが消えていないかを見ます。ここを省くと、検査に合格した不良品がそのまま出品されます。
FAQ
まず撮影の条件をそろえるところから始められます。 背景紙と照明の位置を固定するだけで、切り抜きの難しさは大きく下がります。処理そのものを自動化したい段階になったら、外部に頼むか、市販のツールの一括処理を使う選択肢があります。
起きにくくなりますが、確認は必要です。 AIは「商品らしい形」を見分けるため、白いシールを背景と間違える可能性は下がります。ただし半透明の商品や光の反射が強い商品では、輪郭がぼやけたり色味がずれたりすることがあります。
契約の条件を確認してください。 Photoroomの無料プランは公式のヘルプで商用利用が認められていないため、出品用には使えません。一方、自分で書いたプログラムでの処理や、撮影条件をそろえる工夫に、外部サービスの利用料はかかりません。Photoshopを使う場合は、Adobeのプランのうちフォトプランが月2,380円(税込・年間プランの月々払い・2026年8月時点)と安く済みます。
できません。 メイン画像は純白の背景と定められているためです。生活の場面を作り込んだ画像は、サブ画像や広告で使ってください。規約に反したメイン画像は検索結果から除外されることがあります。
大きさをそろえる作業からです。 リサイズ・中央への配置・純白かの検査は枚数が増えるほど効き、しかもプログラムなら何枚でも同じ結果になります。切り抜きにAIを使うかどうかは、そのあとで判断しても遅くありません。
- Amazonの商品画像づくりのうち、リサイズ・白背景への配置・規格の検査は、外部サービスの利用料をかけずにプログラムで処理できる
- AIを使う価値が出やすいのは、写真ごとに商品と背景の境目が変わる切り抜きの工程である
- 当方が中古パソコンの写真2枚で試したところ、自作の検査はすべて合格したのに、CPUのシールが白く塗り潰されて消えていた
- Amazonのメイン画像は純白の背景と定められているため、生成AIで作り込んだ背景はサブ画像や広告でしか使えない
- 2026年7月から、実在の人物に基づかないAI生成の人物を含む画像には、アップロード前に決められた印を付ける必要がある
手元の商品写真を10枚開き、商品の周りに影・反射・撮影器具が写り込んでいないかを見る
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