経費精算をマネーフォワードで自動化する手順

経費精算をマネーフォワードで自動化する手順 AI活用のヒント
結論

領収書の入力と会計への転記は、今すぐ減らせる

経費精算のうち「書き写す」と「渡す」は、今すぐ機械に任せられます。紙の領収書が多く、会計ソフトへ同じ数字を入れ直している会社ほど効果が出ます。

  • 今すぐ使える:領収書のスマホ撮影と自動読み取り、クラウド会計への自動連携
  • 対象者限定:AIによる経費科目の提案(2025年12月から一部ユーザー)
  • まだ提供前:経費科目・参加者の自動入力、AI Cowork
費用感
1名なら月2,480円、5名なら月6,480円から(年払い・初期費用0円)
最初の一歩
1か月の無料トライアルで、手元の領収書を数枚撮って読ませる

経費精算のどこが機械の仕事になるのか

経費精算は一つの作業に見えますが、中身は3つに分かれています。この3つのうち、どこが機械に置き換わるのかが分かると、導入したあとの姿が見えてきます。

1つ目は書き写す作業です。領収書を見ながら、支払先・日付・金額をシステムに打ち込みます。

2つ目は判断する作業です。その支出を交際費にするか会議費にするか、経費科目(支出を分類する区分)を決めます。

3つ目は渡す作業です。確定した経費を会計ソフトへ入力し、仕訳(取引を「どの勘定科目にいくら」という形で帳簿に記録すること)として残します。

全ユーザーが今すぐ使える範囲で機械に任せられるのは、1つ目と3つ目の「書き写す」「渡す」です。2つ目の「判断する」を助ける機能は、一部のユーザーから提供が始まっています。

書き写す作業を担うのが、AI-OCR(紙に印刷された文字をAIが読み取り、データに変える仕組み)です。スマートフォンのアプリで領収書を撮影すると、支払先・日付・金額を自動で読み取ります。出張先や外回りの途中でも、その場で撮って申請できます。

渡す作業を担うのが、マネーフォワード クラウド会計との連携です。クラウド経費に登録した経費明細や仕訳は、会計ソフトへ自動で送られます。同じ数字を二度打つ必要がなくなるため、打ち間違いも起きにくくなります。

導入前と導入後で何が変わるか

次の表は、経費精算の3つの作業が導入の前後でどう変わるかを並べたものです。

領収書の書き写し
Before(導入前)

支払先・日付・金額を手で入力
After(導入後)

撮影するとAIが読み取る
スマホアプリのAI-OCR
経費科目の判断
Before(導入前)

担当者が都度決める
After(導入後)

一部ユーザーはAIが候補を提案
経費申請サポートエージェント
会計ソフトへの受け渡し
Before(導入前)

経費データを入れ直す
After(導入後)

自動連携で二度打ちなし
クラウド会計との連携

この表を縦に見ると、変化が「書き写す」と「渡す」に集まっていることが分かります。判断や承認は人の手元に残るので、経費精算がまるごと無くなるわけではありません。

だからこそ、導入の効果を見積もるときは自社の作業を3つに分けて数えてください。書き写しに月何時間かけているかが分かれば、減る量の見当が付きます。

※ この表は「やり方がどう変わるか」をそろえています。作業時間そのものの参考値は、記事の後半で1社の導入事例として紹介します。

今すぐ使える機能と、まだ提供前の機能

マネーフォワードはAI機能の発表を続けており、ニュースだけを読むと「もう何でも自動でできる」ように見えます。実際には、提供が始まっているものと予定のものが混ざっています。

経費精算の手入力を減らしたい
その機能は2026年8月8日時点で使えますか?
今すぐ使える

ここから始める領収書の入力スマホ撮影とAI-OCR支払先・日付・金額を読み取る
会計への転記クラウド会計との自動連携経費明細と仕訳をそのまま渡す
一部のユーザーだけ

経費科目の判断経費申請サポートエージェント社内ルールと照らして科目を提案。2025年12月25日開始
まだ提供前

参加者情報まで自動経費科目・参加者の自動入力2026年中にリリース予定
指示だけで丸ごとマネーフォワード AI Cowork2026年7月提供開始予定。8月8日時点では近日提供開始予定

図:マネーフォワード クラウド経費のAI機能が、2026年8月8日時点でどこまで使えるか

図の真ん中は、対象者限定の機能です。「経費申請サポートエージェント」は、2025年12月25日から一部ユーザー向けに提供が始まりました。AIエージェント(指示を受けて複数の作業を自分で順に進めるAI)と呼ばれる仕組みです。

領収書画像からAI-OCRで情報を読み取り、生成AIが社内ルールと照合して経費科目の提案や申請内容の自動チェックを行う。
出典: https://corp.moneyforward.com/news/release/service/20251225-mf-press-1

社内ルールと照らし合わせた状態で申請が届くため、差し戻しのやり取りが減ることが期待できます。ただし出典に効果の実測値は示されていません。どれだけ手間が減るかは、自社で試して確かめる必要があります。

発表された予定は、そのままの日程で来るとは限らない

ここからは、まだ使えない機能の話です。2026年4月7日、マネーフォワードは「マネーフォワード AI Cowork」を発表しました。自然言語での指示だけで、AIがバックオフィス業務(経理・人事・法務など社内を支える事務の仕事)を自分で進めるサービスです。

対象業務には経費精算のほか、請求書発行、入金消込、会計仕訳、勤怠管理、年末調整などが挙げられています。マネーフォワード クラウドを使っている企業が対象です。

発表時点では「2026年7月より提供開始予定」とされていました。しかし本日(2026年8月8日)時点の公式サイトは「近日提供開始予定」の表示で、申し込みは先行受付の段階です。

同じことは「経費科目・参加者情報の自動入力」にも当てはまります。公式サイトには「2026年中にリリース予定」と書かれたままです。

前向きに言い換えると、予定の機能を待たなくても始められる、ということです。今すぐ使えるAI-OCRと会計連携だけでも、書き写しと二度打ちは減らせます。まずその2つで運用を固め、AI機能は使えるようになってから足すのが、作り直しの少ない進め方です。

料金は利用する人数で決まる。無料トライアルは1か月

次の表は、従業員50名以下の会社向けの3つのプランを比べたものです。プランを分けるのは、経費を申請する人が何名いるかです。

プラン 基本料金に含まれる利用者 年払い(月額) 月払い(月額)
ひとり法人 1名(追加できません) 2,480円 3,980円
スモールビジネス 3名 4,480円 5,980円
ビジネス 5名 6,480円 7,980円

「月額2,480円から」の2,480円は、利用者1名の「ひとり法人プラン」の金額です。このプランは利用者を追加できないため、経費を申請する社員が複数いる会社は人数に合ったプランを選ぶことになります。

6名以上で使う場合は、基本料金に1名あたり月500円が加わります。たとえば利用者が10名なら、ビジネスプランの月6,480円に5名分の2,500円を足して、月8,980円が目安です。初期費用は0円です。

年払いにすると月あたりの負担が小さくなります。続けて使う見込みが立っているなら年払い、まず様子を見たいなら月払い、という選び方になります。従業員が51名以上の場合は、公式サイトから個別に問い合わせる形です。

契約前に決めておくのは、経費を申請する社員が何名になるかと、必要な機能がそのプランに入っているかの2つです。この2つが決まれば、上の表で自社の月額を出せます。

判断の材料をお金をかけずに集められるのが、1か月の無料トライアルです。クレジットカードの登録なしで申し込め、期間が終わっても自動で有料プランに切り替わることはありません。

※ トライアル期間中は使えない機能が一部あります。料金と提供内容は変わることがあるため、契約前に公式サイトで確認してください(2026年8月時点の情報です)。

→ くわしくは「AI導入費用は月1万円から|3タイプ別の内訳」で解説しています。

導入の手順は4ステップ

大がかりなシステムの入れ替えではなく、小さく試して広げる進め方が向いています。

進める前に知っておきたいのが、権限の区別です。クラウド経費の権限は「管理」「承認」「一般」「閲覧」「権限なし」の5種類で、各種設定を触れるのは「管理」権限だけです。申請そのものは「一般」権限でもできます。

  1. 無料トライアルで領収書を数枚読ませる
    担当は経理担当者です(申請だけなら「一般」権限でできます)。自社でよく使う店の領収書をスマホで撮り、支払先・日付・金額が正しく読めるか確かめます。ここで精度を見ておかないと、本番で修正作業が増えてしまいます。
  2. クレジットカードや電子マネーを連携する
    担当は連携するカードで分かれます。社員個人のカードは本人が「個人設定」から登録し、法人カードは「管理」権限の人がカード会社との契約をしたうえで設定します。明細が自動で取り込まれるので、カード払いの経費は領収書を撮る手間そのものが減ります。
  3. 会計ソフトとの自動連携を設定する
    担当は「管理」権限の人です(クラウド会計側では「すべての権限」が必要です)。経費明細と仕訳をマネーフォワード クラウド会計へ流す設定をします。この設定を飛ばすと、結局は会計ソフトへ手で入れ直すことになり、効果が半分になります。
  4. 申請ルールをアプリの承認フローに合わせる
    担当は「管理」権限の人ですが、誰が何を承認するかを決めるのは社長や管理者の仕事です。紙の申請書や複数の押印を、アプリ上の承認に置き換えます。ルールが複雑なまま移すと承認待ちの時間が残るため、この段階で見直しておきます。

電子帳簿保存法への対応と、つまずきやすい点

紙の領収書をデータで保存してよいかは、電子帳簿保存法(領収書などをデータのまま保存してよい条件を定めた法律)で決まっています。マネーフォワード クラウド経費は、この法律に対応するための認証を2つ持っています。

ひとつはスキャナ保存(紙の書類を撮影やスキャンでデータにして保存すること)のソフト法的要件認証で、経費精算システムとして国内第1号で2016年に取得しています。もうひとつは電子取引ソフトの法的要件認証で、2021年に取得しています。

ただし、認証があれば自動で法令に対応できるわけではありません。会社側で決めることが残ります。

  • 領収書のデータをどれだけの期間保存するか
  • あとから探せるように、どの項目を検索できるようにしておくか
  • 社員はいつ撮影し、原本の紙をどうするか

つまずきやすいのは、この「会社側で決めること」を導入と同時に決めずに走り出す場合です。ルールが無いまま運用が始まると、後から全期間ぶんを整理し直すことになります。

社員個人のカードを連携すると、その明細は本人にしか表示されません。「管理」権限を持つ人でも確認できないため、経理側で明細を突き合わせたい場合は法人カードの連携を選ぶことになります。

もうひとつは、全社員がいきなり使い始めると、操作に慣れない申請者からの質問が経理担当者に集中しがちなことです。これは新しい道具を入れるときによく起きることで、このサービスに限った話ではありません。先に一部の部署で試し、慣れた人が社内の相談役になる形にしておくと、質問が一人に集まる状態を避けられます。

経理担当1名でも始めやすい理由

申請・承認・会計処理が一つのサービスの中でつながっているため、複数の道具を別々に管理する必要がありません。情報システムの専任者がいない会社でも、経理担当1名で始められます。

ただし、ずっと1名で足りるかは会社によります。申請の件数、承認の段階数、部署ごとにルールが分かれているかによって、必要な体制は変わります。

ある1社の導入事例では、仕訳の入力が月あたり10分程度で完了したと報告されています。

仕訳の入力が月あたり10分程度で完了した
出典: https://boxil.jp/mag/a11090

この会社では仕訳がほぼ自動で作られ、担当者の役割が「入力する人」から「確認する人」に変わったことがうかがえます。ただし1社の結果なので、自社の申請件数やルールの複雑さによって数字は変わります。

担当者が1人の会社では、忙しい時期に経費精算が後回しになりがちです。日々の処理が短時間で終われば、月末にまとめて片付ける状態から抜け出しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

紙の領収書が多い会社でも効率化できますか?

対応できます。スマホで撮影するとAI-OCRが支払先・日付・金額を読み取るため、手入力が多い会社ほど変化を感じやすくなります。ただし読み取りの精度は領収書の状態(かすれ・折れなど)で変わります。自社でよく出てくる領収書の型で試してから決めてください。

費用はどれくらいかかりますか?

経費を申請する人が何名いるかで決まります。年払いなら、利用者1名の「ひとり法人プラン」が月2,480円、3名までのスモールビジネスプランが月4,480円、5名までのビジネスプランが月6,480円です。6名以上は1名あたり月500円が加わり、初期費用は0円です。従業員51名以上は個別の案内になります。

AIが経費科目や参加者情報を自動で入力してくれますか?

2026年8月8日時点では、全ユーザーが使える状態にはなっていません。経費科目の提案と申請内容のチェックを行う「経費申請サポートエージェント」は2025年12月25日から一部ユーザー向けに提供されています。接待交際費の参加者情報まで自動で推測する機能は、公式サイトに「2026年中にリリース予定」と書かれた段階です。

AI Coworkが出るまで待ったほうがいいですか?

待たずに始められます。AI Coworkは2026年7月提供開始予定と発表されましたが、8月8日時点の公式サイトはまだ「近日提供開始予定」の表示です。今すぐ使えるAI-OCRと会計連携だけでも書き写しと二度打ちは減らせるので、先にその2つで運用を固めておくほうが確実です。

電子帳簿保存法への対応は大丈夫ですか?

対応の土台はあります。経費精算システムとして国内第1号で2016年にスキャナ保存ソフトの法的要件認証を取得し、電子取引ソフトの法的要件認証も2021年に取得しています。ただし保存期間や検索条件といった社内の運用ルールは自社で整える必要があります。

まとめ

  • 経費精算は「書き写す」「判断する」「渡す」の3つに分かれ、機械に任せられるのは書き写しと渡す部分である
  • マネーフォワード クラウド経費の料金は利用人数で決まり、年払いなら1名で月2,480円、5名で月6,480円、6名以上は1名あたり月500円が加わる
  • 無料トライアルは1か月あり、クレジットカードの登録なしで申し込める
  • 各種設定を変更できるのは5種類の権限のうち「管理」権限だけで、申請そのものは「一般」権限でもできる
  • AIが経費科目まで自動入力する機能とAI Coworkは2026年8月8日時点でどちらも提供前で、公式サイトの表示は「2026年中にリリース予定」「近日提供開始予定」にとどまる

次の一歩直近1か月の領収書の枚数と入力時間を数え、そのうち数枚を無料トライアルで読み取らせて、入力時間と修正時間を比べる

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執筆・監修

大平一輝 — ジッソウLAB代表

中小企業の業務改善・メルカリ物販、中古PC販売の実務経験を活かし、現場目線でAI活用を検証・発信

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