AI翻訳ツール比較|英語メールの誤訳を見つける

AI翻訳ツール比較|英語メールの誤訳を見つける AI活用の記事
結論

無料のAI翻訳ツール、DeepL・Google翻訳(高度)・Google翻訳(クラシック)・Claude・Geminiの5通りで架空の仕入れメールを訳すと、クラシック以外の4通りに優劣をつけるほどの差は出ず、クラシックだけが誤訳した

当方で、海外の仕入先とやり取りする英語のメールを架空で3通作り、5通りの無料版で1回ずつ訳しました。訳文だけを読んで正しく動けるかを、別のAIを通して確かめました。

  • 確かめ方 … 別のAI(当方はChatGPT)に訳文だけを渡し、「残りはいつ出荷されるか」「カートンは何段まで積めるか」のような27の問いに答えさせた。正解と合わなければ訳文が原文の意味を伝えていない疑いがある(照合はプログラム・最後は人)
  • 正しく読めた数 … DeepL・Claude・Geminiは27問すべて、Google翻訳は「高度」が26問、「クラシック」が24問
  • 誤訳が出た所 … 「5段を超えて」が「5段以上」になる、着金(代金が相手の口座に届くこと)を確かめる人が入れ替わる、など。金額や日付の数字は、15本の訳文すべてに正しく残った
  • 入れてよい内容 … DeepLの無料版は、利用規約で機密情報と個人データを入れられない。Geminiの無料版は、人が読むことがあると公式が書いている
費用感
5通りとも無料版で試した(追加の費用0円)。取引先の名前や単価が入るメールは、無料版で入力した文の扱いを先に確かめる
最初の一歩
次に届いた英語のメールで、納期・数量・期限を3つの問いにし、英語の原文を別のAIに読ませて、訳文で読んだ内容と食い違わないかを見る

AI翻訳ツールは英語メールの条件をどこまで正しく訳せるか?

当方の3通では、無料版の5通りのうち4通りで、27問中26問以上を正しく読める訳文が返ってきました。はっきり差が出たのは、Google翻訳を「クラシック」に切り替えたときだけです。

次の表は、訳文だけを読んで27の問いに答えたとき、正しく読めた数です。

ツール(無料版) 正しく読めた 読み違えた 決められなかった
DeepL 27 0 0
Google翻訳(高度) 26 0 1
Google翻訳(クラシック) 24 1 2
Claude 27 0 0
Gemini 27 0 0

「決められなかった」は、訳文から答えを1つに絞れなかった問いのことです。訳文があいまいな場合のほか、確かめる人が入れ替わるなど中身がどの選択肢にも合わない場合も含みます。どちらも、受け取った人がその場で迷う箇所です。

上位4通りの差は、27問中多くても1問でした。ただし、これはメール3通を1回ずつ訳した結果にすぎません。どのツールが仕事のメール全般に強いかまでは、この数では言えません。

当方の3通では無料版どうしの差が小さく、選ぶときは訳の正確さより、入力した文の扱いを先に比べると決めやすくなります。

→ くわしくは「AIエージェントとは|何をどこまで任せられるか」で解説しています。

どう比べたか|架空の仕入れメール3通を5通りで1回ずつ

当方で、EC物販の会社が海外の仕入先とやり取りする場面を想定し、架空のメールを3通作りました。買い手は架空の「山本さん」で、会社名・人名・品物・金額・日付もすべて架空です。

メール 向き 訳し間違えると困る所の例
深圳の仕入先から 英語→日本語 残りは「12日以降」に出荷、カートンは「5段を超えて」積まない、返事が無ければ分納(何回かに分けて出荷すること)で進む
英国の仕入先から 英語→日本語 新価格の開始日「01/12」(英国では日/月の順)、旧価格のままになる条件、否定を2回重ねた言い方
こちらからの返事 日本語→英語 「結構です」(断り)、主語の無い文、「300個未満」、「入り数」(1箱に入る数)

比べたのは、次の4つのツールの無料版です。Google翻訳は高度とクラシックを別に数えて5通りとし、2026年10月17日に1通ずつ1回だけ訳しました。

  • DeepL … ログインしないウェブ版
  • Google翻訳 … 高度とクラシックの2通り
  • Claude … 無料のアカウント・Sonnet 5.5
  • Gemini … 無料のアカウント・自動モード

訳文を読んで問いに答える役は、比べる5通りに入っていないChatGPT(GPT-6 Astra)に頼みました。どの訳文がどのツールのものかは伏せ、正誤はあらかじめ決めておいた正解とプログラムで照らしています。

どう比べたか|架空の仕入れメール3通を5通りで1回ずつ

材料のメール・27の問いと正解・15本の訳文の全文・ChatGPTの答えは、付録「AI翻訳ツール比較の記録」にすべて載せています。

誤訳はどこに出たか?|数字ではなく「以上」と主語

誤訳が出たのは、範囲や主語を表す言葉でした。金額・個数・日付の数字は、15本の訳文すべてに原文どおり残っています。

次の表は、正しく読めなかった4問の、ツールごとの原文と訳文です。

ツール 原文 訳文 原文と違う点
Google翻訳(クラシック) not stacked more than 5 high(5段を超えて積まない) カートンを5段以上積み重ねないよう 「5段以上」は5段目を含むので、4段までと読める
Google翻訳(クラシック) 着金を確認できしだい(仕入先が確かめる) as soon as I confirm receipt 確かめる人が「I」=山本さんに入れ替わった
Google翻訳(クラシック) 型番と入り数 model number and quantity 「1箱に入る数」が抜け、注文全体の数とも読める
Google翻訳(高度) samples of the two new colours(新しい2色の見本) 新色のサンプル2点 「2色」が「2点」になり、2色とも届くのか分からない

1つ目の「以上」と「超えて」は、5ちょうどを含むかどうかの違いです。英語の「more than 5」は5を含まないため、5段までは積めます。

2つ目は、日本語の主語を省いた文で起きました。「着金を確認できしだい」は、書いた側には仕入先のことだと分かっていても、文面には誰が確かめるかが書かれていません。

数字が正しく残っていても、こうした言葉の誤りは見つかりません。数字の突き合わせはプログラムで手早く済みますが、それだけで訳が正しいとは言えないわけです。

一方で、5通りすべてが正しく訳した所もあります。英国式の日付「01/12」はどれも12月1日と訳し、「結構です」も5通りとも断りの意味で英訳しました。

AIの訳文に付く一文と注記は、送る前に見る

翻訳ツールやAIは、訳文のほかに一文や注記を添えて返すことがあります。そのまま返信に貼ってしまうと、相手にも届きます。

ツール 付いたもの 送る前にすること
DeepL(無料版) 訳文をコピーすると、末尾に「DeepL.com(無料版)で翻訳しました。」(英訳では「Translated with DeepL.com (free version)」) 消してから貼る
Claude 差出人名に仮の漢字「魏 晨」を当て、「漢字表記が不明なため、仮に」と補足 仮の表記を名前として使わない
Gemini 英訳の前後に日本語の説明、英文の途中に「※相手の性別が不明な場合…」の注記 件名から署名までを取り出し、途中の注記も消す

注記がいつも邪魔になるとは限りません。Claudeは英国の仕入先のメールで、「01/12」を英国式の日付と判断して12月1日と訳し、その理由を補足に書きました。判断の根拠が見えるため、受け取った側が確かめやすくなります。

AIの補足は、自分が読む分には役に立ちます。相手に送るときは、件名から署名までを取り出し、途中に挟まったAIの注記も消します。

Google翻訳の「高度」と「クラシック」はどう違う?

1高度=Geminiによる翻訳
2初めから高度が選ばれていた
3一部の言語だけ

Google翻訳のウェブ版では、訳し方を「高度」と「クラシック」から選べます。当方の3通では、高度が26問、クラシックが24問を正しく読めました。

当方の画面(2026年10月17日)では、入力欄の下に「テキスト翻訳モデルを選択」という切り替えがありました(赤枠)。「高度」には「Gemini による正確性重視の翻訳」と書かれ、「高度なモデルは、一部の言語でのテキスト翻訳でのみサポートされています」とも出ています。

Google翻訳のウェブ版の「テキスト翻訳モデルを選択」。高度(Gemini による正確性重視の翻訳)とクラシックを選べる

前の節の誤訳3件は、どれもクラシックで起きています。高度は同じ3か所を正しく訳し、残ったのは「2色」が「2点」になった小さなずれ1件だけでした。仕事のメールを訳すときは、切り替えが「高度」になっているかを先に確かめておきます。

無料版に取引先のメールを入れてよいか?

無料版に入れる前に、入力した文がどう扱われるかを確かめてください。4つのツールで書き方が違い、DeepLの無料版は、機密情報と個人データを入れること自体を利用規約で認めていません。

次の表は、各社の公式ページに書かれている、無料版で入力した文の扱いです(2026年10月17日に確認)。

ツール(無料版) 公式に書かれている扱い 気をつけること
DeepL 訓練と性能向上のために、入力した文を一定期間保存する。無料版で機密情報・個人データを扱ってはいけない(利用規約) 名前・連絡先・単価を入れない。有料のDeepL Proは、入力を保存せず改善にも使わないと公式が書いている
Google翻訳 集めた情報をサービスの向上に使う(Google全体のプライバシーポリシー)。ログイン中の翻訳はクラウドの履歴に保存される 翻訳に絞った学習の扱いは、公式のページで見つからなかった
Claude 設定でオフにしない限り、学習に使われることがある。シークレットチャットは改善に使われない 設定の「AIモデルの改善を支援する」をオフにする
Gemini 人のレビュアーが読むことがある。見られたくない機密情報は入力しないよう、公式が注意している 「アクティビティの保存」をオフにする。オフでも72時間は保存される

表のとおり、学習に使われない設定にすることと、誰も読まないことは別の話です。Geminiの公式ヘルプは、アクティビティの保存をオフにしても、利用者の保護のための確認では人が読むことがあると書いています。

取引先のメールを訳すときは、会社名・担当者名・単価を「A社」「担当者」「単価X」のように置き換えてから入れる手もあります。置き換えても、納期・数量・条件の訳し方は確かめられます。

社内でAIに入れてよい情報の線引きは、生成AI利用ルールの作り方|A4 1枚と90日の運用にまとめています。

→ くわしくは「図面や顧客リストのAI入力|線引きと二重チェック」で解説しています。

英語が読めなくても訳文を確かめる手順

今回は当方が正解を先に決めていたので、AIの答えを正解と比べられました。ふだんのメールには正解が無いので、AIに何を読ませ、答えを何と突き合わせるかを、メールの向きで分けます。

メール 別のAIに読ませるもの 答えと比べるもの
届いたメール(英語→日本語) 英語の原文 訳文を読んで自分が受け取った内容
送るメール(日本語→英語) 英訳だけ 自分が伝えたかったこと(日本語の元の文)

届いたメールで訳文だけを読ませても、自分が読んだのと同じ答えが返るため、「5段以上」のような自然に見える誤訳は見つかりません。英語の原文から答えさせると、食い違いとして出てきます(当方の下準備でも、ChatGPTは原文から27問すべてを正しく答えました)。

問いと答えはどちらの向きでも日本語なので、英語が読めなくても見比べられます。

  1. 先に、間違えると困る点を問いにする
    納期・数量・金額・支払いの期限・「〜しないで」と頼まれていることを、3〜5個の問いにします。訳文を読む前に決めておくと、訳文の書き方に引きずられません。
  2. 翻訳ツールで訳す
    Google翻訳なら「高度」を選びます。DeepLの無料版は、末尾の署名の一文を消してから使います。
  3. 訳したのとは別のAIに、上の表のものを読ませて答えさせる
    届いたメールは英語の原文、送るメールは英訳だけを渡します。答えごとに根拠の文を引用させると、どこを読んで答えたかが分かります。指示文は次の節にあります。
  4. 数字は、原文と訳文で突き合わせる
    金額・個数・日付は、AIに数えさせるより、決まった手順で照らすほうが毎回同じ結果になります。当方は短いプログラムで照らしました。数字を抜き出して並べる式をAIに作らせる方法もあります。
  5. 食い違った所と「決められない」所だけ、確かめ直す
    読む役のAIの答えにも、誤りはありえます。引用された文が本当にあるかを見てから、届いたメールなら相手に聞き返し、送るメールなら日本語の元の文に主語や条件を足して訳し直します。

別のAIに渡す指示文|届いたメール用と送るメール用

届いたメール用は、英語の原文を貼って日本語で答えさせる形です。返ってきた答えを、訳文で読んだ内容と見比べます。

次の英語のメールを読んで、下の問いに日本語で答えてください。

・メールに書かれていることだけで答え、一般的な知識で補わないでください
・1つに決められないときは「決められない」と答え、迷った箇所を書いてください
・答えごとに、根拠になる文をメールの英文からそのまま引用してください

問い:
1. 残りの商品は、いつ出荷されますか
2. こちらが返事をしないと、どうなりますか
3. してはいけないと頼まれていることは何ですか

メール:
(ここに英語の原文を貼る)

送るメール用は、英訳だけを貼る形です。返ってきた答えを、自分が伝えたかったことと見比べます。

次の文章は、取引先へ送る英語のメールです。
この文章だけを読んで、下の問いに日本語で答えてください。

・文章に書かれていることだけで答え、一般的な知識で補わないでください
・1つに決められないときは「決められない」と答え、迷った箇所を書いてください
・答えごとに、根拠になる文を文章からそのまま引用してください

問い:
1. 2回目の商品は、いつから出荷してよいですか
2. 生産を始めてよいのは、誰が何を確かめたときですか
3. カートンの外側に何を書いてほしいと頼んでいますか

文章:
(ここに英訳を貼る)

送るメールの問いは、「誰が」「何を」まで答えさせる形にしておきます。今回のように着金を確かめる人が入れ替わった英訳は、主語を答えさせて初めて見つかりました。

読む役のAIに渡すのも、取引先のメールです。「無料版に取引先のメールを入れてよいか?」の節の表で、入れてよい内容を確かめてから使います。

FAQ

無料で使えるAI翻訳ツールのおすすめは?

当方の3通では、DeepL・Claude・Gemini・Google翻訳(高度)が、27問中26問以上を正しく読める訳文を返しました。差は小さいので、入力した文の扱いと、ふだん使い慣れているかどうかで選ぶと決めやすくなります。

DeepLの無料版で、1回に何文字まで訳せますか?

1回の上限は、公式のページで見つけられませんでした。DeepLの料金ページでは、無料版の文字数は1名1か月あたり5万字です。当方の約1,000字の英語のメール2通は、ログインしないウェブ版でどちらも1回で訳せました。

英語が読めなくても、英訳を確かめられますか?

はい、英訳だけを別のAIに読ませて日本語の問いに答えさせ、自分が伝えたかったことと比べれば確かめられます。当方の返事のメールでも、着金を確かめる人が入れ替わった英訳を、このやり方で見つけました。

まとめ

  • 無料のAI翻訳ツール5通りで架空の仕入れメール3通を訳すと、DeepL・Claude・Geminiは27問すべて、Google翻訳は高度が26問、クラシックが24問を正しく読めた
  • 誤訳は数字ではなく、「以上」と「超えて」の違い、主語の入れ替わり、「入り数」の抜けのような言葉に出た。数字は15本の訳文すべてに原文どおり残った
  • 訳したのとは別のAIに、届いたメールは英語の原文、送るメールは英訳だけを読ませ、日本語の問いに根拠の文つきで答えさせると、英語が読めなくても誤訳の疑いがある所を見つけられる
  • DeepLの無料版は、利用規約で機密情報と個人データを入れられない。Geminiの無料版は人が読むことがあり、Claudeは設定で学習への利用をオフにできる
  • DeepLの無料版は訳文に署名の一文が付き、AIは注記や説明を付けることがある。返信に貼る前に、相手に送る部分だけを残す

次の一歩次に届いた英語のメールで、納期・数量・期限を3つの問いにし、英語の原文を別のAIに読ませて、訳文で読んだ内容と食い違わないかを見る

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大平

執筆・監修

大平 — ジッソウLAB代表

中小企業の業務改善・メルカリ物販、中古PC販売の実務経験を活かし、現場目線でAI活用を検証・発信

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