Googleの新モデルGemini 4 Argonを試したところ、規程の点検・見積の比較・返信メールでは、3.8 Flashでも同程度の結果になった。Argonは処理時間が長く、契約で使える量も多く減るので、長く何段もある仕事で使う
当方で架空の業務資料を3つ作り、Gemini 4 Argon・3.8 Flash・Claude Opus 5.5に同じ文で1回ずつ頼みました。採点は、比べる相手に入れていないChatGPTに任せています。
- 正解を決めておいた項目 … 4通りとも、3つの課題で全問正解。4通りは3.8 Flash(高値)・Argon(高値)・Argon(安値)・Opus 5.5(最大)
- 時間と使用量 … 見積の比較では、Argon(高値)が約4分かかり、使用量(契約で使える量のうち使った割合)を15%使った。Flashは約40秒・1%
- 拾いすぎと書き足し … 食い違いでない所まで挙げる・メモに無い経緯を書き足す、はGeminiの3通りにあり、Opus 5.5は0件
- Argonに切り替える場面 … Googleの説明では、大きなプログラムの書き換えや金融・法務の調べもののように、長く何段もある仕事(当方は未検証)
Gemini 4 Argonとは?|10月13日からProとUltraで使える
GeminiアプリでArgonを選べるのは、有料のGoogle AI ProとUltraの契約者です。Googleのリリースノートによると、2026年10月13日から世界で順次使えるようになりました。
9月30日の発表時点では、サイバー攻撃を防ぐ側の、Googleが認めた相手にだけ先に出していました。Googleは、長く何段もある仕事向けのモデルと説明しています。
例に挙げているのは、大きなプログラムの書き換えや金融・法務・税務の調べもの、長い動画の読み取りなどです。
GeminiアプリでArgonを使える契約は、次の3つです(Googleの料金ページ・2026年10月時点の日本の月額)。
| 契約 | 月額 | 使用量の上限 |
|---|---|---|
| Google AI Pro | 2,900円 | 無料版の4倍 |
| Google AI Ultra | 14,500円 | Proの5倍 |
| Google AI Ultra | 32,000円 | Proの20倍 |
無料版とGoogle AI Plus(月725円)では、Argonは選べません。無料版で使えるのはFlash-Lite、Plusで使えるのはFlashまでです。
上限は、使った計算の量で決まります。頼み方の複雑さや使う機能、会話の長さで減り方が変わります。5時間ごとに戻りますが、それとは別に1週間の上限もあります。
Argonを試すには、まずProの契約が要ります。Flashで足りる仕事が中心なら、月725円のPlusでもFlashは使えます。
アプリのほかに、API(自社のシステムからAIを呼び出す窓口)でも使えます。こちらは使った量に応じた料金で、金額は下のFAQに載せています。
Googleのモデルカードによると、Argonが覚えている知識は2026年3月までの情報です。それより新しい制度や料金を聞くときは、答えを公式の情報で確かめます。
モデルカードでは、事実でない内容を答えることや、遅くなったり時間切れになったりすることも、限界として挙げています。
アプリではどう選ぶ?|「複雑なタスク」と思考レベル
当方のGoogle AI Proの画面(2026年10月14日)では、モデルを選ぶ一覧に4つが並んでいました。名前の下の説明は、画面の表示のままです。
- 3.5 Flash-Lite … すばやく回答を得るのに最適
- 3.8 Flash … あらゆる場面でサポート
- 3.1 Pro … 高度な推論
- 4 Argon … 複雑なタスク
一覧の下には「思考レベル」があります。「安値(時間をかけず効率的に)」「中(バランスを取って詳しく)」「高値(徹底的に詳しく)」の3段から選べます。選んだ結果は、入力欄の横のボタンに「Argon 高値」のように出ます。

当方の画面では、14日の通常のチャットではボタンが「Argon 高値」、15日の一時チャットでは思考レベルの「安値」に印が付いていました。思考レベルは、送る前にボタンの表示で確かめるほうが確実です。
使用量は、gemini.google.com/usage の画面で見られました。画面の名前は「使用量上限」で、「現在の使用量」(5時間ごとに戻る上限に対する割合)と「1週間の上限」が、それぞれ%とリセットの時刻で出ます。
どう比べたか|架空の業務3つを4通りで1回ずつ
当方で、中小企業の事務でよくある仕事を3つ選び、架空の資料を作りました。会社・人・数字はすべて架空です。
| 課題 | 中身 | 見たいこと |
|---|---|---|
| 規程の点検 | 就業規則・賃金規程・旅費規程(約8千字)に食い違いを10か所仕込み、食い違いに見えて正しい所も4つ混ぜた | 長い資料を読み切り、拾い漏れと拾いすぎが無いか |
| 見積の比較 | 複合機3社の見積。税抜と税込が混ざり、別立ての保守料や12か月だけの値引き、税込の下取りがある | 条件をそろえて、5年の総額と安い順を出せるか |
| 返信メール | 取引先からの納期前倒しの相談に、工場長のメモどおり返事を書く | 簡単な仕事でも差が出るか |
正解は、送る前に決めておきました。見積の総額は、当方がプログラムで計算して確かめています。
比べたのは次の4通りです。かっこの中は思考レベル(Claudeは「エフォート」)で、3.8 Flashは「高値」だけで試しました。
- Gemini 3.8 Flash(高値)
- Gemini 4 Argon(高値)
- Gemini 4 Argon(安値)
- Claude Opus 5.5(最大)
Geminiは一時チャット、Claudeはシークレットチャットを使い、1回ごとに新しく開きました。Geminiの一時チャットは、画面の説明によると最近のチャットに表示されず、Google AIの改善には使われません(安全上の理由で72時間は保存されます)。

採点はChatGPT(GPT-6 Astra)に頼みました。答えはどのAIのものか伏せて渡し、判定ごとに答えの文をそのまま引用させています。
引用が本当に答えの中にあるかは、プログラムで照らし合わせました。判断が分かれた1点(返信メールの書き足し)は、当方の担当者が決めています。
材料・頼み方・正解表・AIの答え12件の全文・採点の全件は、付録「Gemini 4 Argonの比較の記録」にすべて載せています。同じ型の比べ方は、Excel CopilotとClaudeの集計を比較|答え合わせでも使いました。
AIに採点させるときは、どのAIの答えかを伏せ、根拠の引用を付けさせると、あとから人が1件ずつ確かめられます。
正解の数に差は出たか?
正解を決めておいた項目では、差は出ませんでした。仕込んだ食い違い10か所・見積の総額と安い順・返信の6項目は、4通りとも全問正解です。
| 規程の食い違い10か所 | 見積の総額と安い順 | 返信メールの6項目 | |
|---|---|---|---|
| 3.8 Flash(高値) | すべて拾えた | すべて正解 | すべて正解 |
| Argon(高値) | すべて拾えた | すべて正解 | すべて正解 |
| Argon(安値) | すべて拾えた | すべて正解 | すべて正解 |
| Opus 5.5(最大) | すべて拾えた | すべて正解 | すべて正解 |
規程の点検では、食い違いに見えて正しい所を4つ混ぜていましたが、どれも食い違いとは扱いませんでした。見積の比較でも、税込の下取りや12か月だけの値引きを、4通りとも正しく計算に入れています。
一方、拾いすぎと書き足しには差が出ました。どちらも採点で数えた項目で、Opus 5.5は0件でした。
- 食い違いでない所まで挙げた … Geminiの3通りは「出張の提出先が所属長と経理課で違う」も食い違いとした。出す書類が報告書と精算書で別なので、食い違いではない
- メモに無い経緯を書き足した … Geminiの3通りは返信に「製造部門と調整いたしました」のような経緯を書いた。Argon(安値)は「可能な限り調整いたします」という約束も足した
返信メールの書き足しは、判断が分かれる点です。Opus 5.5は「社内で確認いたしました」と書いており、採点ではこちらを書き足しにしていません。
採点とは別に、当方が気づいた点もあります。Argonの見積の答えには、2回とも韓国語の単語が1つずつ入っていました(「항목」「향후」)。
AIの返信や報告は、メモに無い経緯や約束、別の言語の語が入っていないかを読んでから使います。
時間と使用量はどれだけ違う?|Argonは1回で最大16%
正解の数で差が出なかった分、時間と使用量の差ははっきり出ました。表の%は、使用量の画面の「現在の使用量」が1回で増えた分です(画面の表示は整数)。

| 返信メール | 見積の比較 | 規程の点検 | |
|---|---|---|---|
| 3.8 Flash(高値) | 約40秒・0% | 約40秒・1% | 約1分・1% |
| Argon(高値) | 約40秒・4% | 約4分・15% | 約2分・16% |
| Argon(安値) | 約30秒・2% | 約2分・16% | 約20秒・4% |
| Opus 5.5(最大) | 数分 | 数分 | 数分 |
Claudeの使用量は、Geminiとは別の画面に別の割合で出るので、表には入れていません。Opus 5.5の時間は、課題の外の処理も含むため参考で、速さの比べ合いには使いません。
見積の比較で、Argon(高値)は答えの中でPythonのプログラムを6本書いて計算していました。最後には、頼んでいない「枚数を変えて試す道具」の見出しと説明まで付いています。
答えは約1万7千字に達しました。Flashの約1,800字と比べると、約9倍の分量です。総額と安い順は、どちらも同じでした。
思考レベルを「安値」にすると、3つとも高値より早く終わりました。ただし使用量は、見積の比較で16%と、高値の15%と変わりません。1回ずつの結果なので、どの仕事なら軽く済むかまでは言えません。
Claudeの画面でも、同じような案内が出ていました。エフォートを「最大」にすると、「ほとんどのタスクでは中の方が適しています」と出ます。いちばん上の設定を毎回使わなくてよい点は、GeminiもClaudeも同じです。
見積の総額のような計算は、AIに答えだけを出させるより、計算の表や式を作らせて人が数字を確かめるほうが確かです。Argon自身も、計算はプログラムに任せていました。
Argonは何に使うべきか?
普段の仕事は3.8 Flashで始め、答えが足りないときや、長く何段もある仕事のときだけArgonに切り替える。これが、当方の結論です。
次の図は、どちらのモデルに頼むかの分かれ道を、当方の実測とGoogleの説明でまとめたものです。
図:Geminiのモデルを選ぶ分かれ道(当方の3つの課題とGoogleの説明から・2026年10月時点)
自社の仕事に当てはめるときは、まず「長く何段もあるか」で分けます。規程の点検・見積の比較・返信メールの下書きは、当方の実測でFlashで足りた側です。どちらのモデルでも、メモに無い経緯や約束、別の言語の語、計算の前提は人が見ます。
当方の課題は、Argonが一度に扱える量から見ればずっと短いものです。Googleのモデルカードでは、入力と出力をあわせて100万トークン(AIが読み書きする文字の量の単位)まで扱えます。
もっと長い資料や、何十段もの作業で差が出るかは、今回は試していません。
Argon(高値)は、見積の比較と規程の点検で、1回で使用量を15〜16%使いました。Flashで足りる仕事にArgonを使うと、その分だけ、本当に重い仕事に回せる量が減ります。
Argonを試すときの手順
-
使用量の画面を別のタブで開くgemini.google.com/usage で「現在の使用量」の%を控えます。当方は同じタブで開いて、一時チャットの答えを見直せなくなりました。
-
いつもの依頼を3.8 Flashに出す思考レベルも選んで控えます。速い答えを、比べる基準にします。答えが出たら、使用量の%をもう一度控えます。送る前との差が、その1回の分です。
-
同じ文をArgonに出す新しいチャットを開き、思考レベルを選んでから送ります。既定は、日によって違って見えました。答えが出たら、ここでも使用量の%を控えます。
-
答えと使用量を並べる答えに差が無ければ、その仕事はFlashに戻します。差があったときだけ、Argonで続けます。
-
閉じる前に答えをコピーする当方は、Claudeのシークレットチャットを答えのコピー前に閉じてしまい、同じ依頼をやり直しました。
FAQ
いいえ、無料版とGoogle AI Plus(月725円)では使えません。Geminiアプリで使えるのは、Google AI Pro(月2,900円)とUltraの契約者です(2026年10月時点)。
当方の3つの課題では、どちらでも正解を決めておいた項目は全問正解でした。安値は3つとも高値より早く終わり、使用量も2つの課題で少なく済んでいます。拾いすぎについては、安値が2件、高値が1件でした。
当方は、今回ChatGPTを比べる相手に入れていません(採点役に使いました)。Googleが発表した性能表では、金融・法務などのVals IndexでArgonが68.9%、GPT-6 Astraが63.1%です。一方、プログラムの課題のFrontierSWE v2では、Argonが55.0%、GPT-6 Astraが65.5%でした。
100万トークンあたり、入力は2ドル、出力は10ドルです。どちらも2026年11月30日までの導入価格です。その後は入力4ドル・出力20ドルになると、Googleが発表しています。
- 当方の3つの課題(約8千字の規程の点検・3社の見積の比較・返信メール)では、正解を決めておいた項目に差が出なかった。Gemini 3.8 Flash・Argon・Claude Opus 5.5が、どれも全問正解だった
- 処理時間と使用量(契約で使える量のうち使った割合)の差は大きく、見積の比較ではArgon(高値)が約4分・15%、3.8 Flashが約40秒・1%だった
- GeminiアプリでGemini 4 Argonを使えるのは、Google AI Pro(月2,900円)以上の契約。無料版とGoogle AI Plusでは使えない(2026年10月時点)
- Argonが向くのは、Googleの説明では長く何段もある仕事で、当方の短い業務ではFlashで足りた
- 拾いすぎと書き足しはGeminiの3通りにあり、Opus 5.5は0件だった。AIの返信や計算は、メモに無い経緯や約束、計算の前提を人が読んでから使う
いつもの依頼を3.8 FlashとArgonに1回ずつ出し、答えと使用量の画面を見比べる
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