定型はプログラム・魅力はAI・確認は人に分ける
商品説明文をAIだけに書かせると事故が起き、人が全部書くと時間がかかります。当方の中古パソコン出品は、その作業を3者で分けました。1台ぶんのリサーチと文章の手直しが、20分から7分になりました。
- プログラム:スペック表から定型の文章を組み立てる
- AI:Webでその機種を調べ、他機種と比べた魅力を足す
- 人:写真と本文が同じ1台かを確かめて出品する
出品文ができるまでの4つの工程
登場するのは人・プログラム・AI の3者です。順番と担当は、こう決めています。
| 工程 | 担当 | 使っている道具 | やること |
|---|---|---|---|
| ① スペックの登録 | 人 | Googleスプレッドシート | 型番・CPU・メモリ・ストレージ・状態・不具合など約40項目を入力する |
| ② 定型文の作成 | プログラム | GAS(表計算ソフトに付いている自動処理の仕組み) | 登録された項目から、決まった形のタイトルと説明文を組み立てる |
| ③ 補正とリサーチ | AI | Claudeのデスクトップアプリ | 読みやすく整え、Webでその機種を調べて魅力を足す |
| ④ 検査と確認 | プログラム+人 | 出品画面 | 入力と食い違う記述をプログラムが止め、人が写真と本文を照らして出品する |
大事なのは後の工程で判断に迷ったら、①「スペックの登録」の値を基準にすると決めておくことです。②「定型文の作成」も③「補正とリサーチ」も、この表を言い換えているだけと決めています。だから④「検査と確認」で食い違いが見つかったときは、必ず①「スペックの登録」が勝ちます。
入力した値そのものが正しいかは、検品のときに人が実機を見て確かめます。表に入れれば正しくなるわけではありません。基準を1か所に決めておくと、あとの工程で「どちらを信じるか」で迷わなくなる、という意味です。
③「補正とリサーチ」で使う補正ルールは、Claudeの「プロジェクト」機能に1回だけ登録してあります。毎回貼るのは商品データだけなので、1台ぶんの受け渡しは数十秒で済みます。
工程ごとに担当を変えるのがこの形の肝です。同じ相手に「書いて、確認して」と続けて頼むと、自分が書いた文章として読んでしまい、食い違いを見落とします。
スペック表だけでは「その1台を選ぶ理由」が書けない
②「定型文の作成」だけでも、出品はできます。ただし書けるのはスプレッドシートに入力した情報だけです。型番・CPU・メモリ・ストレージ・状態、つまりどのパソコンにも共通する項目が並びます。
買う人が知りたいのは、その先です。似た値段で似たスペックの中古パソコンが並んでいるとき、この1台を選ぶ理由がどこにも書かれていません。
AIを通すと、ここが変わりました。Webでその型番を調べ、機種ごとの特徴を「おすすめポイント」として足してきます。当方の出品で実際に足された例です。
- 画面のふち(ベゼル)が細い:画面占有率が高く、同じ本体サイズでも表示が広い
- USB Type-C充電に対応:スマホ用の充電器や汎用アダプターと共有できる。専用ACアダプターを持ち歩かなくてよい
- 米軍MIL規格に準拠:他の機種より頑丈で、持ち歩きが多い人に向く
どれも、スペック表を見ているだけでは出てこない情報です。他の機種と比べて初めて「強み」になる種類の情報だからです。マーケティングでいうUSP(購入候補の中で選ばれる理由)にあたります。
ただし、調べたことを何でも載せているわけではありません。載せてよいのは、下書きに書いてあるか、型番が完全に一致する情報で「その型番なら必ず付いている」と確かめられたときだけです。同じ型番でも構成によって付いたり付かなかったりする装備(指紋認証・テンキー・Type-C充電など)は、少しでも怪しければ書かせません。
つまりAIが見つける工程と、載せてよいかを決める工程は別です。調べるのはAIですが、載せる基準は先に人が決めておきます。
これを人がやろうとすると、1台ごとにメーカーの製品ページやレビュー記事を開いて読むことになります。当方の場合、そこに1台10分かかっていました。AIが型番から自動で調べて、売りになる点を選んで書いてくれる。ここがいちばん助かっている部分です。
検索で見つけてもらう面でも差が出ます。AIは検索されやすい語を優先順に判断し、タイトルと説明文の冒頭から順に埋めていきます。上限の文字数が決まっているので、どの語を先に置くかが効いてきます。
AIに調べさせる項目は選んでください。当方は、メモリとストレージの容量ではWeb検索させていません。中古は販売前に増設・交換していることがあり、検索で出てくる出荷時の構成と、実際に売る個体の構成が違うためです。この2つはスプレッドシートの値をそのまま使わせています。
20分が7分に:どこの時間が減ったか
プログラムだけで出品していた頃と、AIを足した後で、1台あたりの時間を比べました。
減ったのは、人が調べていた時間です。手直しの4分が残っているのは、AIの出力をそのまま出さないと決めているからで、ここを削るつもりはありません。
売れ方も変わりました。AI補正を入れる前と後で、ページのビュー数が約17%増え、販売台数は前年比で約9%増えました。
ビュー数は1〜3月の平均と、AIを入れた4〜6月の平均を比べた数字です。販売台数の前年比には、仕入れた機種の構成や時期の相場も混ざるため、参考値として見てください。ビュー数のほうは説明文とタイトルの変更が直接効く指標なので、こちらのほうが読み取りやすい数字です。
AIが書いた説明文で、実際に起きた3つの誤り
いいことばかりではありません。AIに書かせるようになってから起きた誤りは、次の3つの型に分かれました。
| 型 | 実際に起きたこと | なぜ危ないか |
|---|---|---|
| 捏造 | タッチ非対応の機種の説明文に「タッチパネル」と書かれた | 買った人が、付いていない機能を期待して受け取る |
| 書き換え | 型番 AH52/B2 が AH53/B2 に変わった。状態欄が「やや傷や汚れあり」なのにタイトルが「美品」になった | 変わったあとの型番も実在するので、検索して確かめても気づけない |
| 削除 | 検品のときに記録したドット抜け・異音・ヒンジのゆるみが、説明文から落ちた | 買う人に伝えるべき情報が消える。3つの中でいちばん重い |
この表で見てほしいのは、誤りの中身よりもどれも日本語として自然に読めるという点です。「タッチパネル対応で操作もかんたんです」という一文は、それだけ読めば何もおかしくありません。
おかしいと分かるのは、①「スペックの登録」で入れた値と突き合わせたときだけです。つまり、人が説明文を上から読み直しても見つかりません。
捏造が起きる理由もはっきりしています。型番が1文字違うだけの上位モデルが実在するからです。AH52/B2 と AH53/B2 はタッチの有無が違い、Webで調べると情報が混ざります。AIは調べ物が得意なぶん、この取り違えを起こします。
③「補正とリサーチ」でAIに調べさせるほど、①「スペックの登録」との照合が要るようになります。リサーチを足すことと、検査を足すことはセットです。
入力データと食い違う記述は、プログラムが止める
そこで④「検査と確認」に、プログラムによる検査を入れました。AIの出力を人へ渡す前に、①「スペックの登録」で使ったスプレッドシートと突き合わせます。
判定できるものと、できないものを分けています。
| 見るもの | 担当 | 具体例 |
|---|---|---|
| 入力データと合っているか | プログラム | 「タッチパネル」の語があるのに入力は非対応/型番の数字が違う/記録した不具合が本文に無い |
| 決まった形になっているか | プログラム | タイトルや説明文が上限の文字数を超えていないか/必要な項目が抜けていないか |
| 写真の商品と同じか | 人 | 出品画面で、並べた写真と本文が同じ1台を指しているか |
| 文章として売れそうか | 人 | 書き出しで魅力が伝わるか/おすすめポイントが的を射ているか |
上の2行に共通しているのは、正しさの基準が文章の外にあることです。①「スペックの登録」で入れた表が正なので、突き合わせはプログラムにできます。
ここでプログラムがやっているのは、文章の意味を理解した判定ではありません。入力項目ごとに、本文へ必ず残す語と、書いてはいけない語をあらかじめ決めておき、それがあるかを見ているだけです。だから作るのは難しくない代わりに、決めた語のことしか見つけられません。
下の2行は基準が文章の外にありません。だから人が見ます。工程を分ける目的は、人が見る対象をこの2行まで減らすことです。
検査を作るときは、否定形の扱いに気をつけてください。当方は「異音なし」「ムラ無し」まで不具合の記述として数えてしまい、まともな説明文が全部止まる状態を一度作りました。
出品文づくりの手順
自社で組むときは、次の順で進めてください。AIを最初に入れないことが、いちばんのコツです。
手順1・2と、4の検査は、作るのに表計算の知識が要ります。社内に触れる人がいれば自社で作れますし、いなければ仕組みだけ外に頼み、毎日の運用は自社で回す形でも構いません。毎日動かすのは1と5の、人がやる工程だけです。
4の直しは回数を決めておいてください。当方は2回までとし、それでも通らなければ人が手で直します。直らない文章をAIに何度も投げても、時間が増えるだけで通るようにはなりません。
-
入力する項目を決めて、1か所の表にそろえるまずGoogleスプレッドシートに、商品ごとに必ず埋める項目を決めます。ここが基準になるので、あとの工程で「どちらが正しいか」を判定できるようになります。項目がバラバラのままだと、検査そのものが作れません。
-
定型で書ける部分を、プログラムに作らせるスペック欄や返品条件のように毎回同じ形になる部分は、表計算の自動処理で組み立てます。AIに書かせると同じ内容が毎回少しずつ揺れるので、先に固定してしまいます。
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AIには「調べ物」と「読みやすさ」を頼むここで初めてAIを入れます。当方はClaudeのプロジェクト機能に補正ルールを登録し、毎回は商品データだけを渡しています。ルールを毎回貼らないので、受け渡しが短くて済みます。
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入力データと食い違う記述を、プログラムで止めるAIが調べて足した内容ほど、入力との突き合わせが要ります。ここで止まったときは、全文を書き直させるのではなく指摘された箇所だけを直させます。全文を作り直すと、問題のなかった文まで変わってしまうからです。
-
人が写真と本文を照らして出品する最後は人が出品画面で確認して、出品ボタンを押します。この工程だけは自動にしていません。
つまずいた点
AIは自分が書いた文字数を数えられない
出品サイトには文字数の上限があります。当方が使っているサイトでは、タイトルが40字と100字、説明文が1,000字です。しかも1つのサイトは改行を2文字として数えるので、見た目より早く上限に来ます。
指示文に「960字以内で」と書いても、AIは平気で超えてきます。直し方は2つに分かれました。
- 数える作業をプログラムに移す。 何字かをプログラムが数え、その数値を渡してから短縮を頼みます。AIに数を委ねるのをやめました。
- あとから増える分を先に引いておく。 返品条件などの定型文は、AIには短い記号で書かせ、あとでプログラムが本文へ展開しています。AIは記号の長さで数えるので、展開したとたんに超えます。増える分(当方の場合は約145字)を先に予約しました。
超えたときも、いきなり文章を削らせません。まず空白行を詰め、それでも収まらなければ「おすすめポイント」の箇条書きを末尾から1つずつ減らします。スペック欄・返品条件・不具合の記述は削らない、と決めてあります。
指示を強くしても直らない項目がある
指示文を書き足しても揺れが止まらない項目もありました。デスクトップの付属品を「純正キーボード、マウス付き」と書く回と書かない回がある、といったものです。
いちばん厄介だったのは、Microsoft Office が入っていない機種に「オフィス付き」と書いてしまう誤りでした。「オフィス」は検索でよく打たれる語なので、読まれる文章を書こうとするほど入れたくなる言葉です。禁止と伝えても、SEOという別の動機と衝突して守られませんでした。
そこで指示文を強くするのをやめ、AIの出力が終わったあとにプログラムで該当の行を消し、正しい一文を入れ直す形にしました。何度実行しても同じ結果になるので、揺れそのものが無くなりました。
AIの遵守率を上げようとしないほうが早く着きます。守れなかったときに直す側を用意すれば、指示文は短くなり、結果は毎回同じになります。
費用は「1件ごと」か「月額の中で」かで変わる
商品説明文をAIで作るときの費用は、どちらの窓口を使うかで変わります。当方は現在、上の表に書いたとおりClaudeのデスクトップアプリで回しています。定額プランの中に収まるので、1台ごとの追加費用は発生していません。
| 使い方 | 向いている場面 | 費用のかかり方 |
|---|---|---|
| 定額プランのチャットアプリに貼る | 1日に数件、人が見ながら進めたいとき | 契約している月額の中で収まる |
| 開発者向けの窓口(API=プログラムから直接AIを呼ぶ入口)を使う | まとめて処理したいとき | 1件ごとの従量課金 |
費用を左右するのは件数だけではありません。毎回どれだけ長い指示文を渡しているかが効きます。当方は補正ルールが約2万字あり、これを毎回商品データと一緒に貼っていました。
チャット側の「プロジェクト」にルールを1回だけ登録したところ、毎回貼るのは商品データだけになり、約2千字(およそ10分の1)まで減りました。長文のコピーが途中で切れる不具合も同時に消えています。
ルールを別の場所に置くと、ルールを直したのに登録側を直し忘れる事故が起きます。直したつもりで古いルールのまま処理されるので、当方はルール文の指紋を記録し、変わっていたら開始時に警告を出すようにしました。
→ くわしくは「AI導入費用は月1万円から|3タイプ別の内訳」で解説しています。
自社で始めるときの見極め
図:商品説明文づくりをどこから始めるかの判断
どちらに進むにしても、最初にやることは同じです。直近10商品ぶんで、人が直した箇所を数えてください。「足りない」が多ければAIを、「違う」「消えた」が多ければ検査を、先に用意する順番が見えてきます。
FAQ
A. そのままの出品はおすすめできません。当方は、プログラムの検査を通ったあとでも、最後に人が出品画面で写真と本文を照らして確認しています。プログラムに任せられるのは「入力データと合っているか」までで、写真の商品と説明文が同じ1台かどうかは判定できないからです。確認する範囲を減らすことはできますが、無くすことはできません。
A. できれば、スペックを入力する人と最後に出品ボタンを押す人を分けてください。1人で回している会社が多いので、分けられないときは作った直後ではなく時間を空けて確認するか、確認する項目をリストにして順に見るだけでも効果があります。同じ人が続けて見ると、自分が入力した内容として読んでしまい、食い違いを見落とすためです。当方は検品でスペックを入力する担当と、出品画面で最終確認する担当を分けています。
A. その場合は、AIより先にプログラムでの定型化をおすすめします。AIがいちばん効くのは、同じ値段・同じスペックでも1台ずつ特徴が違う商品です。当方の中古パソコンは型番ごとに画面のふちや充電方式が違うので、調べる価値がありました。仕様が一定なら、良い定型文を1つ作って使い回すほうが速く、事故も起きません。
- 商品説明文づくりは、プログラム(定型文を作る)・AI(Webで調べて魅力を足す)・人(写真と本文を照らす)の3者に分けると回りやすい
- スペック表に入力した項目だけでは、似た商品が並んだときに「この1台を選ぶ理由」が書けない。画面のふちの細さや充電方式のような、他機種と比べて初めて分かる強みはAIが調べて足せる
- 当方の中古パソコン出品では、1台20分(リサーチ10分+手直し10分)が7分(AI 3分+手直し4分)になった。減ったのは人が調べていた時間
- AIの誤りは捏造・書き換え・削除の3つの型に分かれ、どれも日本語として自然に読めるため読み返しでは見つからない。入力データと突き合わせるプログラムの検査で止める
- 文字数の管理や表記の統一は、AIへの指示を強くするより、出力後にプログラムで直すほうが結果が安定する
直近10商品ぶんの説明文をAIに作らせ、人が直した箇所を「足りない・違う・消えた」の3つに仕分けて数える。
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