生産進捗の遅れをデータに変える|AI化に効く共有表

生産進捗の遅れをデータに変える|AI化に効く共有表 AI活用のヒント
結論

ホワイトボードを消した瞬間、AIの材料も消えている

いまも現場事務所にホワイトボードを置いて、生産の進捗を管理している工場があります。これをスプレッドシート共有に移す狙いは、情報を共有することだけではありません

  • すぐ効く:離れた場所から進捗が見える。集計の事務作業がなくなる
  • あとで効く遅れの記録が消えずに貯まる(本題はこちら)
  • その先:①データを整える → ②数理最適化 → ③AIで予測・調整。共有表は①
  • 誰がやる:表の管理=管理部門の事務担当/実績入力=工程の担当作業者/週1回の確認=部門長
費用感
Googleスプレッドシートは無料。この記事の範囲では、追加のソフト代はかかりません。
最初の一歩
いちばん遅れが出やすい1ラインの、2週間ぶんの工程を、1行1レコードの形でスプレッドシートに写します。

工場のAI化には順番がある

「AIで生産計画を最適化したい」という相談は増えています。ただ、そこへ直行できる工場はほとんどありません。順番があるからです。

当方は、この順番で進めるべきだと考えています。

  1. DXでデータを整える
    紙とホワイトボードをやめ、あとから集計できる形で記録を残す段階。
  2. 数理最適化でスケジューリングする
    貯まった実績をもとに、計画の立て方そのものを機械に解かせる段階。
  3. AIで予測・調整を強化する
    遅れそうな工程を先に見つけ、計画を組み替える段階。

②や③から始めることはできません。読ませるデータが無いからです。この記事が扱うのは①です。

経済産業省のスマートファクトリーロードマップは、スマート化の段階を3つのレベルで整理しています。レベル1がデータの収集・蓄積、レベル2がデータによる分析・予測、レベル3がデータによる制御・最適化です(MatrixFlowの解説より)。

並べ方は資料によって少し違います。上の3段階では最適化が先で、こちらでは予測が先です。どちらを先にするかは、何に使いたいかで変わります。共通しているのは、予測も最適化もデータの収集・蓄積の後に来ることです。この記事が扱うのは、その収集・蓄積にあたる部分です。

製造業DXの優先順位も同じ形で語られます。フェーズ1で紙帳票などのデータをデジタル化し、そのあとに可視化、分析・予測(AI活用)、自動化・最適化へ進む、という順です。AIを使うにもデータが無ければ始まらないため、デジタル化がすべてのDXの基盤とされています(extra mileの解説より)。

AI化が進まない理由は、たいていツールを選んでいないことではなく、読ませるデータが無いことです。

「その先」に何があるかを先に見ておく

第一歩の話をする前に、ゴール側を見ておきます。ここが見えていないと、表づくりが「とりあえずの電子化」で終わります。

生産スケジューラにAIを組み合わせる仕組み(APS AI)では、受注データと現場の実績データをAIが分析します。設備の負荷や在庫の状況をもとに、正確な納期回答を自動化する使い方が挙げられています(OptiMaxの解説より)。

大きな工場では、すでに動いています。日本製鉄は東日本製鉄所の君津地区で、製鋼工程の週次生産計画を数理最適化技術で自動立案しています。このシステムは2023年10月に稼働しました(日鉄ソリューションズの事例より)。

これは製鉄所の話で、小規模の工場がそのまま真似する対象ではありません。ここで見てほしいのは規模ではなく、どちらも「実績データがある」ことが前提になっているという一点です。

ホワイトボードの弱点は「見えない」ことではなく「消える」こと

ホワイトボードと付箋の管理は、IT機材が要らず誰でもすぐ始められる方法です。その代わり、情報を共有できる範囲がその場にいる人に限られ、過去のやり方が記録として残りにくいという弱点があります(smartcraftの解説より)。

よく語られるのは前半の「その場にいる人しか見られない」ほうです。ここにも実利があります。

移した直後から効く2つのこと

1つは、進捗をその場で共有できることです。現場では朝から分かっていた1日の遅れが、事務所に届くのは電話が来てからでした。表に入っていれば、営業も社長も同じ数字を同じ時刻に見られます。

現場側も同じです。大型のディスプレイを現場に設置すれば、工程の進捗が作業者全員にその場で分かります。置き方は後半でもう一度触れます。

もう1つは、集計の事務作業がなくなることです。ホワイトボードの数字は、誰かが転記して数え直していました。表に入力された時点で集計が終わっているので、この作業そのものが消えます。

当方が関係した職場では、毎日30分かかっていた集計がゼロになりました。入力の件数は職場によって違うので、そのまま当てはまる数字ではありません。それでも、消えるのが「一部」ではなく「作業そのもの」だという点は変わりません。

ここまでは、移した週から効きます。ただし本題は次です。

貯まった記録が資産になる

進捗が届かないのは不便ですが、電話をかければ解決します。一方、消してしまった記録は、あとから何をしても戻りません。ここが取り返しのつかない差です。

残すべきは、次の4つです。

  • どの工程が
  • どの製品で
  • どれくらい(何日)
  • なぜ遅れたか

この4つが数か月ぶん貯まると、扱いが変わります。「なんとなく塗装が遅れがち」という体感が、回数と日数の数字になります。どこがボトルネックかを話し合うときの材料になり、将来的には遅延を予測するための学習データにもなります。

スプレッドシートに移すと、編集のたびに履歴が自動で記録・保存されます(TSクラウドの解説より)。誰がいつ何を書き換えたかが残るので、遅れの申告そのものを後から追いかけられます。

何を比べる表か:同じ「遅れ」を扱ったときに、何がどう変わるかを並べます。

進捗の共有
Before(導入前:ホワイトボード)

その場にいる人だけ
After(導入後:共有表)

離れた場所からその場で見られる
月末の集計
Before(導入前:ホワイトボード)

転記して数え直す
After(導入後:共有表)

入力した時点で終わっている
記録の寿命
Before(導入前:ホワイトボード)

消した時点で消える
After(導入後:共有表)

ファイルとして残る
3か月前の遅れ
Before(導入前:ホワイトボード)

確かめる手段がない
After(導入後:共有表)

行をたどれば分かる
遅れの理由
Before(導入前:ホワイトボード)

担当者の記憶にしかない
After(導入後:共有表)

選択肢として数えられる
書き換えの跡
Before(導入前:ホワイトボード)

残らない
After(導入後:共有表)

履歴が自動で保存される

ホワイトボードは「今日」を映す道具、共有表は「これまで」を貯める道具です。役割が違うので、どちらが優れているという話ではありません。

移行の手順:あとで機械が読める形にする

ここがこの記事のいちばん大事なところです。ホワイトボードの写しをセルに書くだけでは、礎になりません。見た目は表でも、機械には読めない表ができあがります。

対象を1ライン・2週間ぶんに絞る

遅れが出やすいラインを1つ選び、直近2週間ぶんの工程だけを対象にします。全工程を網羅せず、納期に直結する工程だけを並べます。

全ラインを一度に移そうとすると、表を作るだけで数週間かかります。その間、現場は結局ホワイトボードを見続けます。

1行1レコードの形で作る

表をデータベースとして使うときの基本原則は3つです。表頭は1行目だけ、1行に1レコード(1セル1データ)、同じ列は同じ形式にそろえる。これは機械がデータを正しく解釈するために必要とされています(Quest Inc.の解説より)。

この記事の場合、1行が「1つの工程の1回ぶん」になります。列は次の5つから始めれば足ります。

中身 書き方の例
工程 どの工程か 塗装
品番 どの製品か A-1203
計画日 いつ終わる予定だったか 2026-08-05
実績日 いつ終わったか 2026-08-07
遅延理由 なぜ遅れたか 材料待ち

日付が「8/5」「8月5日」「金曜」と行ごとに混ざると、それだけで集計できなくなります。同じ列は同じ書き方、を最初に決めてください。

遅れた日数の列は要りません。実績日と計画日の差で計算できるからです。手で書くと計算違いが混ざるので、計算式に任せます。

まだ終わっていない工程は、実績日を空欄のままにします。空欄が「未完了」の印になるので、状態を書く列も要りません。列は増やさないほうが続きます。

遅延理由をプルダウンにする

いちばん効くのがこの1つです。遅延理由を自由記述にすると、「材料待ち」「材料まち」「資材遅れ」「材料が来ない」が同じ意味で並びます。人は読めますが、機械は別物として数えます。

選択肢が決まっている項目は、手入力ではなくドロップダウンリスト(プルダウン)を設定すると入力しやすく、入力間違いを防げます(SmartDBの解説より)。

最初は5つか6つで十分です。材料待ち/前工程の遅れ/設備トラブル/人員不足/仕様変更/その他、といった具合です。「その他」が増えてきたら、そこから新しい選択肢を足します。

セル結合と色分けをやめる

紙の帳票をそのまま移すと、セルを結合して見出しを作り、遅れを赤く塗る形になりがちです。人には分かりやすいのですが、色は普通の集計では扱いにくいという難点があります。「赤いセルがいくつあるか」を数えるには、別の設定や処理が必要になります。

意味を持たせたいときは、列を足して文字で書きます。色を付けるのは構いませんが、色だけに意味を持たせないのが条件です。遅れているかどうかは、色ではなく遅延日数の計算結果で分かるようにしておきます。

入力のタイミングと項目を決める

「気づいたら入力」では入りません。昼休み前と終業前の2回など、時刻を決めます。

そのうえで、誰が何を入れるかを分けます。5列すべてを現場に入力させると、それだけで続かなくなります。

誰が 何を いつ
管理部門の事務担当 工程・品番・計画日を先に入れておく。表そのものの管理も受け持つ 計画を立てたとき
工程の担当作業者 実績日。遅れたときだけ遅延理由も選ぶ 決めた時刻に2回
部門長 遅延日数を見て、手を打つかどうかを決める 週1回

現場が入力するのは実績日の1つだけ(遅れた回のみ遅延理由を追加)です。ここまで絞ってから始めます。

最初の1週間は、ホワイトボードと共有表を両方動かして構いません。表に何が足りないかが1週間で分かります。足りない列を足してから、ボードを止めます。

ここを外すと「デジタルなホワイトボード」ができるだけ

ステップ2から4を飛ばすと、どうなるか。画面はきれいになり、分析に使えないデータが溜まっていきます。これがいちばん多い失敗です。

しかも、たちが悪いことに、しばらくは誰も困りません。困るのは1年後、「去年の遅れを分析しよう」としたときです。そこで初めて、集計できない形で1年ぶん貯めていたと気づきます。

当方自身の運用でも、ばらばらのデータを1つにまとめる作業が第一段階であり、全体でいちばん大変な作業でした。体感では、プログラムを組んでシステム化するよりも大変です。ツールは買えば手に入りますが、データの揃え方は買えません。

Excelでの管理は個人で手軽にできる反面、それゆえに個々ばらばらな表や管理形態になり、全体で見ると効率の障害になることがあります。ラインごとに項目名も単位も違う状態で表だけ集めても、1つの表にはなりません。

小さく始められないのは、運用ではなく書き方のほうです。列名・日付の形式・遅延理由の選択肢は、「うちはこの形で書く」という会社全体の決めごとにしてください。試すのは1ラインで構いません。ただし書式だけは、あとで全社に広げても通用する形で決めます。逆に言えば、この決めごとさえ通れば、あとは自然に貯まっていきます。

最大のリスクは、現場の入力負荷

設計の話をしてきましたが、実際に止まる原因はもっと手前にあります。現場が入力しなくなることです。

ホワイトボードの本当の強みは、共有でも記録でもありません。歩きながら3秒で書けることです。この手軽さを下回った瞬間、共有表は更新されなくなります。

中小製造業の現場では、タブレットを配っても定着しないことがあります。対策として挙げられているのは3つです。据え置きのPCを置く、入力タイミングを「作業の切れ目」にする、入力項目を最小限(品番・数量・完了時刻)にする(テックメモの解説より)。

入力そのものを速くする(当方の経験)

対策の中でいちばん効いたのは、打つ量を減らすことでした。当方が作業者として工程進捗を入力していたときの経験では、バーコードスキャナー(QRコード対応)を使うと入力の手間が大きく減り、間違いも激減しました

何を読み取るのかというと、すでに現場を流れている紙です。各工程を流れる仕掛品には、製造指示書のような書類が添付されています。図面の場合もあります。

この書類にバーコードかQRコードを載せておきます。作業者は、それをスキャナーで読むだけで済みます。新しく持ち物が増えるわけではありません。

品目・数量・作業者をキーボードから打つ場合と比べて、体感では半分以下の労力です。読み取るだけなので、ホワイトボードの「歩きながら3秒」に近いところまで戻せます。

相性がよいのは、ステップ2から4で決めた形です。品目や作業者をコードで持っておけば、読み取った値がそのまま同じ書き方で入ります。表記ゆれが起きる余地がなくなる、という言い方のほうが正確かもしれません。

読み取りが追いつかなくなったら:RFタグ(RFID)

ここから先は最初の2週間には要りません。点数が増えて、バーコードでも追いつかなくなってからの選択肢です。

バーコードは1点ずつしか読めません。RFタグ(RFID。電波で読み取る荷札)なら数十〜数百点を一度に、しかもタグが見えていなくても読めます(Factoridgeの解説より)。100個の部材で、バーコードは10分以上、RFタグなら数秒とされています(DAIKO XTECHの解説より)。

各工程にリーダーを固定して置けば、通過が自動で記録されます。読み取るという作業そのものがなくなります(DAIKO XTECHの解説より)。

ただし金属や液体は電波を反射・吸収し、読み取り距離や精度を下げます(スマートFの解説より)。製造現場はまさにその環境です。同じ出典も「バーコード管理から始め、製品点数が増えてきてから移行を検討する」流れをすすめています。

「見える」機能をどう代替するか

前半で触れた大型ディスプレイは、ここを埋めるためのものです。ホワイトボードは、通りかかった人の目に勝手に入ります。共有表はファイルを開かないと見えません。

置き方には前例があります。タブレットで作業実績(着手・完了)をリアルタイムに集め、その内容を大型モニターに表示して進捗を見える化した製造現場の事例があります。日報作成の工数削減も実現しています(ネクストリンクスの事例集より)。

効果の数字も出ています。タブレット導入の事例では、製造日報の作成・管理にかかる工数を60%削減した企業や、年間約12万枚の紙を削減した企業があります。転記ミスの解消や、データをその場で共有できる効果も挙げられています(i-Reporterの解説より)。

入力を減らす工夫と、見えるようにする工夫はセットです。片方だけだと、どちらも続きません。

時間で見ると、どこがどれだけ変わるか

ここまでに出てきた数字を一覧にします。出どころが違うので、自社の数字はこの幅の中のどこか、という見方をしてください。

何の作業か いま 移したあと 出どころ
進捗の集計 毎日30分 0分 当方が関係した職場
工程実績の入力 キーボードで打つ 体感で半分以下 当方の経験(バーコード)
部材100個の読み取り 10分以上 数秒 DAIKO XTECH(RFタグ)
製造日報の作成・管理 従来の運用 60%削減した企業がある i-Reporter(タブレット)

上2行は当方の経験で、公開された調査結果ではありません。下2行は各社の解説にある数字です。どれも1つの現場の話なので、自社で1か月測るのがいちばん確かです。

データが溜まったら、その先へ

数か月ぶんの記録が貯まると、次の段階に進めます。

Googleスプレッドシートは、データベースとして構築・運用できます。正規化したテーブル設計と、QUERY関数やGoogle Apps Scriptによる自動化・外部連携を使います。これで小規模から中規模の業務に向いたデータベースを組めるとされています(マネーフォワードの解説より)。

つまり、ここまでの形で貯めていれば、集計と可視化はそのまま同じ表の上でできます。専用のシステムを買い足す段階は、まだ先です。

段階を並べると、こうなります。

段階 やること 判断の材料
1 ホワイトボード 今日の状態だけ分かる
2 共有表(1行1レコード) 遅れが記録として残り始める
3 集計・BI どの工程がボトルネックかが数字で出る
4 予測・スケジューラ連携 遅れそうな工程を先に手当てする

AIが出すのは分析と予測であって、判断ではありません。当方が運用している別の業務(在庫と発注)で需要予測を入れたときも、手で集計する作業は消えましたが、AIが出した数を確認して決める仕事は残りました。工程の遅れも同じで、取引先に何を伝えるかを決めるのは人です。

自社がいまどの段階かを確かめる

生産の進捗データをAIに活かしたい
遅れの記録は、あとから月単位で振り返れる形で残っていますか?
いいえ:ホワイトボードや紙で消えている

移す先は決まっていますか?
まずここからまだ決めていない共有表への移行から1ライン・2週間ぶんを1行1レコードで作る。この記事のステップ1〜5がそのまま当てはまります。
生産管理システムを検討中先に記録する項目を決めるシステムを入れても、何をどの形で残すか決まっていないと同じことが起きます。
はい:すでに表に残っている

セル結合・色分け・自由記述がある表の形を直すところから見た目は表でも機械には読めません。ステップ2〜4で1行1レコードへ寄せます。
1行1レコードで揃っている集計と予測へ進めるボトルネック分析やBI連携を検討できる段階です。

図:自社の進捗データがどの段階にあるかを確かめるフロー

FAQ

うちは小さい工場です。AIの話はまだ早いのでは?

A. AIを入れる話はまだ先で構いません。ただし記録を残し始めるのは今からのほうが得です。数か月ぶん貯まって初めて分析も予測も成り立つので、始めた時期がそのまま使える時期を決めます。1ライン・2週間ぶんに絞れば、現場の負担を確かめながら始められます。この2週間を試用期間と考えて、入力にかかった時間と未入力の件数を数えてください。続けられるかどうかは、そこで判断できます。

ホワイトボードは全部やめることになりますか?

A. いいえ。当日の作業割り当てはホワイトボードに残し、計画に対する遅れだけを共有表に移す分け方が現実的です。工場内で完結する情報は壁に書いてあるほうが速いです。移す価値があるのは、あとから振り返る必要がある情報です。

遅延理由をプルダウンにすると、実態と合わない気がします。

A. 最初は「その他」を必ず入れておき、自由記述の欄を1つだけ添えてください。「その他」が増えてきたら、そこから新しい選択肢を作ります。選択肢は最初に完成させるものではなく、運用しながら育てるものです。

パソコンが苦手な社員でも入力できますか?

A. 入力する項目を実績日と遅延理由の2つに絞れば、日付を入れて選択肢を選ぶだけの作業になります。据え置きのPCを現場に置き、入力するタイミングを作業の切れ目に決めておくと定着しやすくなります。

生産管理システムを買ったほうが早くないですか?

A. 検討して構いませんが、順番は変わりませんシステムを入れても、何をどの形で残すかが決まっていなければ、集計できないデータが溜まります。先に共有表で1ラインぶんを回して、必要な項目が固まってから見積もりを取るほうが、選ぶ基準がはっきりします。

どれくらい貯まれば分析できますか?

A. 明確な線引きはありませんが、季節や繁忙期の差を見るには数か月ぶんが目安になります。まずは3か月続けて、遅延理由の内訳を数えてみてください。その時点で、いちばん多い理由が1つか2つに絞れているはずです。

まとめ

  • なぜ残すか:ホワイトボードは消した瞬間に記録が消える。共有表に移せば「どの工程が・どの製品で・何日・なぜ遅れたか」が貯まり、ボトルネック分析や遅延予測の材料になる。
  • どう作るか:表頭は1行目だけ・1行1レコード・同じ列は同じ形式にそろえ、遅延理由はプルダウンにする。セル結合と、色だけに意味を持たせる書き方は避ける。
  • 誰がどう始めるか:1ライン・2週間ぶんから。工程・品番・計画日は管理部門の事務担当が先に入れ、現場の作業者は実績日だけを入れる。週1回、部門長が遅延日数を見る。
  • 何を測るか:最初の2週間は、入力にかかった時間と未入力の件数を数える。移行が止まる最大の原因は現場の入力負荷なので、続けられるかどうかはここで決まる。

次の一歩いちばん遅れが出やすい1ラインの直近2週間ぶんを、工程・品番・計画日・実績日・遅延理由の5列で写し、遅延理由だけプルダウンにする。

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執筆・監修

大平一輝 — ジッソウLAB代表

中小企業の業務改善・メルカリ物販、中古PC販売の実務経験を活かし、現場目線でAI活用を検証・発信

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